調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝

著者 :
制作 : 下井草 秀 
  • リトル・モア
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784898155363

作品紹介・あらすじ

日本音楽・芸能史第一級資料にして
「恥ずかしくない大人」でいるための虎の巻

生誕70年、音楽生活50年。
日本のロック草創期に立ち会い、パンクを輸入し、ヒップホップを世に問い、トランスに狂喜し、CM音楽を星の数ほど量産する……

インタビュー40時間超!
日本音楽史のあらゆる局面で、欠かすことのできない最重要人物による貴重な証言の数々

◎豪華描画陣による肖像画掲載→
秋元康/浅野忠信/安齋肇/石野卓球/内田玄兎(本木雅弘 次男)/内田春菊/江口寿史/大竹伸朗/桐島かれん/クリス・ペプラー/こぐれひでこ/清水ミチコ/末井昭/杉作J太郎/高木完/手塚眞/根本敬/ピストン西沢/横山剣/リリー・フランキー/渡辺和博(五十音順、敬称略)
◎登場人物+バンド=約880!(索引有)
◎ボーナストラックとして近田春夫による筒美京平論所収

「ただでさえ、放っとけば人間というのは小さくなる。
 だからこそ、打って出るという行為には重要性がある。」(本文より)

感想・レビュー・書評

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  • 近田春夫は日本音楽史上もっともポップで難解な存在!?自他ともに認める天才に小泉今日子が迫る | フジテレビュー!!
    https://nordot.app/834836811259068416?c=768367547562557440

    音楽で生きる、東京で生きる。『調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝』 - HONZ
    https://honz.jp/articles/-/45907

    「調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝」書評 流転を続けて「袖で見る」音楽史|好書好日
    https://book.asahi.com/article/14223139

    リトルモアブックス | 『調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝』 近田春夫/構成・下井草秀 【サイン本再入荷!】
    http://www.littlemore.co.jp/store/products/detail.php?product_id=1040

  • ミュージシャン、プロデューサー、作詞・作曲家、そして文筆家と、マルチな才能を発揮する音楽界の重鎮、近田春夫の自伝。生誕70年、音楽生活50年を記念しての出版。

    1970年代にロックバンド、ハルヲフォンで歌謡曲のカバーをしたり、日本でおそらく最初期にヒップホップやヴィブラストーンとしてラップを始めたり、日本の音楽シーンにとっては、早すぎた男がどうやって出来上がったのかが、当時の周辺人脈の思い出と共に語られていて、その方面が好きな人には必読の一冊となっている。

    そして本書巻末には、桐島かれん、横山剣、清水ミチコ、リリー・フランキー、根本敬、秋元康、石野卓球他豪華メンバーによる、著者の似顔絵が掲載されているのも、著者がいかに多くのジャンルの人から愛されていることがわかって素晴らしい。

    著者の音楽をまだ聴いたことのない人は、ぜひ、ハルヲフォン、ヴィブラストーン、ソロアルバム「天然の美」等をぜひ聴いてみて下さい。

  • 計12回/約40時間に及んだというロング・インタビューを元に、ライターの下井草秀が構成した〝語りによる自伝〟である。

    「あとがき」で近田春夫自身が言うように、「私というものを通じて、この国の音楽/芸能のシーンを〝袖で見る〟醍醐味を味わうことができる」内容である。

    日本のロック黎明期から現在まで、この国の音楽/芸能を支えてきた錚々たる面々と関わり、多くの作品・番組・雑誌等に携わってきたマルチな才能・近田春夫。

    なかなか見えにくかった彼の全体像が、初めて一冊の本の中に詰め込まれている。

    音楽家としてプロデビューするまでの幼・少年期にも異例なほどの紙数が割かれているが、その部分も少しも退屈ではない。
    幼稚舎からの慶應ボーイである東京のお金持ち子弟たちのゴージャスな青春が、興趣尽きないからだ。

    とはいえ、いちばん面白いのは、やはり近田がギョーカイに入ってから。

    音楽の世界でデビューする以前に、彼は創刊当時の『an・an』の編集スタッフとして働いていたという。
    その舞台裏を綴った部分だけでも、椎根和・淀川美代子・木滑良久・石川次郎・今野雄二などの有名どころが次々と登場する。

    そして、音楽業界入りしてからの記述は、「えっ、あれにも関わってたの!?」、「あの人とあの人がここで出会っていたのか!?」という驚きの連続である。

    個人的にとくに強い印象を受けたのは、近田が尊敬してやまない筒美京平の徹底したプロ意識を示すエピソード。

    《これは80年代に入ってからの話になるけど、京平さんと仲良くなって、一緒に旅行に行く機会があったんだ。俺も京平さんも、当時発売されたばかりのウォークマンを持って来てたから、飛行機の中でお互いのカセットを交換したのよ。
     それを聴いてみて驚いた。京平さんのカセットにはリアルタイムの洋楽のヒット曲が詰まっているんだけど、全曲、イントロから一番のサビまでしか入ってない。つまり、あくまでも資料として割り切って聴いてるんだね。筒美京平の秘密を知ってショックを受けたよ。やっぱりこの人は真のプロだな、俺なんか本当にアマチュアに過ぎないと心底思い知らされたよ》118ページ

    また、ジューシィ・フルーツのデビュー曲「ジェニーはご機嫌ななめ」の裏話も面白い。

    《俺はイリアさんが歌うのを聴いたことがないままデビューシングルの「ジェニーはご機嫌ななめ」(作詞・沖山優司/作曲・近田春夫)を書いちゃったから、彼女がいざ歌おうとしたらキーが高すぎた。これからカラオケを作り直すのも大変だなと思って、地声じゃなくファルセットで歌ってもらったんだ。ずいぶん杜撰な話だよ(笑)。だからジューシィには、ファルセットの曲ってあれしかない》140ページ

    それと、作家の朝吹真理子の母親が、テレビの『ぎんざNOW!』に近田と一緒に出演していた音楽評論家/DJの水野三紀であることを本書で知って、驚いた(ネット上のウワサ話として目にしたことはあったが、ホントだったんだ)。

    音楽好き、雑誌好き、サブカル好きなら楽しめること請け合いの一冊。
    下井草秀の構成も丁寧かつ読みやすい。

  • 近田春夫という人が僕の視界に入ってきた時期というのは、ほんの一時だったのだなあと思える、一代記。

    面白すぎてあっという間に読んでしまった。

    伝記的な本というのは、まだ何者でもない幼少期、少年期というのは読み飛ばしてしまうものだが、この人の場合は周りに出てくる人物も興味深く、後の有名人もいたりして、退屈しなかった。

    自分の興味のあることだけを追い続け、名声とか富をまったく気にしていないように見えるのがすごい。一時テレビによく出ていたのが僕の目に触れた頃だったのたが、その不健全さに気づき撤退し、消耗されずに過ごせたのだろう。

    「日本の歌というのは、結局どこまでいってもまず言葉ありきなのよ。和歌や短歌のことを歌と呼ぶことからも分かるじゃない。そこに節がついて、肉声の魅力が加わる。あくまでも言葉と声を味わうためのものなんだよ」

    しかし音楽とは、もっと数学的で、抽象的な魅力を持った、理屈っぽいものという。理屈というのは、数式とか法則とかのことだろう。

    「100%、理屈で解析することができるんだ。」

    「週刊文春」にコラムを依頼された時の気持ちが書かれていて、それも書き記しておきたい。

    こんなこと引き受けて大丈夫かと自分に問いつつもこう考える。
    「そこで断ったら、その後の自分は、絶対に今の自分より小さくなってしまう。ただてさえ、放っておけば人間というのは小さくなる。だからこそ、打って出るという行為には重要性がある」
    今の自分にはとても参考になった。

    ヒップホップ、ラップを取り入れたのも86年頃と早い。
    僕の弟が「日本で始めてラップをやったのは山田邦子」と言ってたが、近田春夫も「俺以前には色物だけど、山田邦子と吉幾三(『俺ら東京さ行くだ』)」、「二の線の作品では84年佐野元春『VISITORS』が最初」と書いていて、やっぱそうなんだ、と思った。

    癌に罹ってからの心境が本のタイトルになっているわけだが、この心持ちも大変良い。

  •   登場する話題について、本当にあちこち懐かしさのスイッチを押されるような。
     けっして主流派や権威になろうとはしないから、流れ続けているから、面白い読み物になっている。
     こういう流動性って、かつてよりも今の方が薄れているってことを、真面目に考えるべき。アンフェアであっては困るけど、かつての方がもっと可能性が感じられた。

  • とても面白かった!!細野さんの「細野晴臣とその時代」と同時に読みました。同時読みオススメ。あとがきに書かれてるが、「はっぴいえんどから始まる日本語ロックが・・・」的な日本ロック正史とは違う(そして現実!)視点・実話・流れが盛りだくさんで、ホントに楽しかったし、勉強なった。(近田さんも言ってる「舞台袖」から覗いたストーリー。
    細野さんとの出会い、「はっぴいえんどのですます調もちょっと違うじゃん」的な感じとか、2冊同時に読み進めると、60年代-80年代を複眼的に体験できて幸せす。
    紹介されてる楽曲と元ネタをYouTubeで検索しながら読みました。語り調の文体も読みやすいです。
    とてもオススメ!

  • 一気に読み進んでしまった。あとがきにもあるように、舞台袖から近田春夫という人生を、そしておらが国のショービス史を眺めるかのよう。思えば明星の付録歌本で人生曲がったのだよなぁ。ええ、もちろん好い方角にね。

  • あっという間に読み終えた。

  • 音楽にも疎いし、世代的なこともあって、近田春夫に関するリアルタイムの知識といえば「考えるヒット」くらいしかない。それ以外の知識はすべて現在から過去を掘り起こしてのものである。

    近田春夫は余裕があるように見える。そう振る舞っている部分もあるかもしれないが、とりあえずそう見える。そのルーツはなにかといえば、単純にボンボンだったからなのかもしれない。音楽的な素養に関しても生まれは大きいのだろうと思う。

    本書はそのような出生から現在までの近田春夫語り下ろしによる自伝である。編者によるあとがきで「デビューまでが長い」と書かれてはいる。たしかにそのとおりなのだが、それまでにも音楽に携わる仕事は大量にこなしているわけで、あまりその線引きは意味がないだろう。
    出てくる固有名詞は音楽関係ばかりで、おそらく近田春夫と同世代のひとが読んでも、すべて知っているというひとはいないと思う。でも、だいたいなんとなくわかる。近田本人も言っているが、近田の興味範囲はコロコロと移り変わる。なので「まぁなんかそのジャンルの有名なひとなんだろう」くらいで読める。

  • 2023/10/12

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著者プロフィール

1951年2月25日生まれ。東京都世田谷区出身。ミュージシャン、作曲家、音楽プロデューサー、音楽評論家、タレント。
幼稚舎からの慶應義塾を大学で中退。1975年、近田春夫&ハルヲフォンとしてデビュー。1979年、ソロ・アルバム『天然の美』を発売。1981年、近田春夫&ビブラトーンズを結成。1985年、President BPM名義でヒップホップ・レーベルを立ち上げる。1987年、ビブラストーンを結成。1997年よりAFROMIX、NO CHILL OUTなどの名義でゴア・トランス・テクノ作品をリリース。2001年よりRICE名義、ユニットThe Lunatic Thunderなどでサイケデリック・トランス作品をリリース。2018年、38年ぶりとなるソロ・アルバム『超冗談だから』、OMBとのユニットLUNASUNのアルバム『Organ Heaven』を発売。2019年、ベストアルバム『近田春夫ベスト~世界で一番いけない男』をリリース。現在は、元ハルヲフォンのメンバー3人による新バンド「活躍中」でも活動中。
著書に『考えるヒット』『考えるヒット2』『考えるヒット3』『その意味は 考えるヒット4』『大きくふたつに分けるとすれば 考えるヒット5』『いいのかこれで 考えるヒット6』『定本 気分は歌謡曲』(文藝春秋)、『考えるヒット テーマはジャニーズ』(スモール出版)などがある。

「2019年 『VIBE RHYME(ヴァイブ・ライム)[復刻版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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