歌舞伎町事変1996~2006

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  • ワニマガジン社
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784898299814

感想・レビュー・書評

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  • 歌舞伎町の主役は誰なのかがわかる。この二人のことはNHKのドキュメントで知りましたが、文章も写真も生っぽくていい。

  • 日本で最も有名な歓楽街の一つ(ひょっとすると最高に?)歌舞伎町を、中国人と韓国人のジャーナリストが10年かけて取材した記録。


    中国人の李小牧の方は、その辺のジャーナリストとは一味違い、完全に歌舞伎町の住人となっていたようだ(今の日本のジャーナリズムが堕落している、とか、本来ジャーナリストとは何か、とかいう話は置いといて)。ヤクザとも風俗関係者とも、警察とも深いパイプがあったことが伺われる。


    彼はヤクザに監禁されて、あと一歩で指詰めというところまで行っている。しかもその経験を、
    「本当のことを言うと逃げることもできたわけ。でも一度見たかった。ヤクザはどうやって脅すのか、と。その経験がネタになるわけだから。危険だからこそ行く、逃げないで」
    と言ってのける。


    カラー・白黒写真がメインで、文章がその合間にちょこちょこある、といったバランス。とはいえ言葉が足りないという印象は受けない。


    ストーリーラインはいたってシンプル。血みどろの情事の街歌舞伎町が、発砲事件やビル火災を経て、遂に警察の大規模摘発を受け、普通の街になってしまった、という分かりやすいもの。


    当時は無名の若手だった2人も今では、日本や故国で割と有名人だそうだ。ただし、それは本人の口からは語られない。本編においては、あくまで、歌舞伎町にドップリ漬かっていた者の視点が生きている。


    しかし、ストーリーは付け合せみたいなもので、あくまでこの本の主役は写真だろう。写真は、現実にありそうな場面だが、マスメディアには出てこない、といった感じのものが多い気がする。


    ドラマや漫画のように、いたずらに誇張されたり美化されてもいないし、マスに出すには醜いし、つまらない。でも、歓楽街の現実ってそんなものではないのか。自分には分からないが。


    結構良い瞬間を取っているのだろうけれど、「絵」になっていないし、全然美しくない。サラリーマンがヤクザにリンチされ、中国人女性が拉致され、薬物所持の男が警察に取り押さえられ…といった写真が延々、脚色も何もされずに陳列される。しかし、だからこそリアルな雰囲気が伝わってくるし、何故か見ていて気持ちが良い。

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著者プロフィール

1960年中国湖南省生まれ。バレエダンサー、文芸紙記者、貿易会社員などを経て88年にデザインを学ぶ私費留学生として来日。歌舞伎町に魅せられ、「歌舞伎町案内人」として活動し始める。歌舞伎町でレストラン『湖南菜館』を経営。『歌舞伎町案内人』(角川書店)をはじめ著書多数。「ニューズウィーク」誌の連載コラム、日中の大学での講演、テレビ、ラジオ出演など多方面で活躍している。

「2011年 『常識外日中論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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