裏切りの夏

著者 :
  • ネオテリック
2.60
  • (0)
  • (0)
  • (4)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 12
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784900845442

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 天安門事件 1989年6月4日
    中国の現代史にとって、
    天と地がひっくり返った時期。

    その時の「自由」は、一体何だったろう。
    中国共産党のもつ強大な力、その中で、改革を訴える。
    しかし、軍は、なぜ「人民」に銃を向けたのか。
    戦車の前に、青年がたたずんでいる映像(ニュース)が思い浮かぶ。

    国に裏切られた。友人に裏切られた。そして愛する人に裏切られた。
    というテーマで書かれる 若き女性の自由を求める姿。

    その中の文章は、きわめて詩的で、うまい表現をしている。
    「林影が走る。天安門をあとにして。
    血に染まった広場は、どんどん遠ざかっていく。
    こんなむごい流血は、悪夢の中でしかおこらないはず。
    戦車が次々と、地響きをたててゆっくり進んでいく。
    行く手にあるものは、なにもかも倒され、つぶされていく。
    自転車。屋台。鉄柵。バス。・・・・」

    その情景は、私は、ニュースで見ていた。

    林影は、逃げまどい、恋人のところに逃げ込もうとするが、
    はやく、恋人の抱きしめて、緊張を解いてもらいたいと
    恋人の家に行くが、恋人は、別の女性とベッドの中にいた。

    天安門事件が、個人の中に深く刻みこめられるが、
    しかし、なにか、違う方向へ行く。

  • 天安門事件を扱っている。
    風景、感情、動作などが絵画的に描写され、詩的な文章で物語は進む。ストーリー性は低いが、感情面から天安門事件を見ることができる。
    ただ、終始、詩的な文章がつづくと、少しくどく思えてくる。
    重いテーマを扱いながらもさわやかに読める作品だ。

全2件中 1 - 2件を表示

虹影の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×