- Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
- / ISBN・EAN: 9784900845442
感想・レビュー・書評
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天安門事件 1989年6月4日
中国の現代史にとって、
天と地がひっくり返った時期。
その時の「自由」は、一体何だったろう。
中国共産党のもつ強大な力、その中で、改革を訴える。
しかし、軍は、なぜ「人民」に銃を向けたのか。
戦車の前に、青年がたたずんでいる映像(ニュース)が思い浮かぶ。
国に裏切られた。友人に裏切られた。そして愛する人に裏切られた。
というテーマで書かれる 若き女性の自由を求める姿。
その中の文章は、きわめて詩的で、うまい表現をしている。
「林影が走る。天安門をあとにして。
血に染まった広場は、どんどん遠ざかっていく。
こんなむごい流血は、悪夢の中でしかおこらないはず。
戦車が次々と、地響きをたててゆっくり進んでいく。
行く手にあるものは、なにもかも倒され、つぶされていく。
自転車。屋台。鉄柵。バス。・・・・」
その情景は、私は、ニュースで見ていた。
林影は、逃げまどい、恋人のところに逃げ込もうとするが、
はやく、恋人の抱きしめて、緊張を解いてもらいたいと
恋人の家に行くが、恋人は、別の女性とベッドの中にいた。
天安門事件が、個人の中に深く刻みこめられるが、
しかし、なにか、違う方向へ行く。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
天安門事件を扱っている。
風景、感情、動作などが絵画的に描写され、詩的な文章で物語は進む。ストーリー性は低いが、感情面から天安門事件を見ることができる。
ただ、終始、詩的な文章がつづくと、少しくどく思えてくる。
重いテーマを扱いながらもさわやかに読める作品だ。