狛犬事典

著者 :
  • 戎光祥
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本棚登録 : 22
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784900901209

作品紹介・あらすじ

古代オリエントに生まれ、はるかシルクロードを越えて日本に定着した狛犬は、長い年月に渡って日本の神社仏閣に鎮座し、聖域を守り続けてきた。本書はその歴史と特徴を研究してきた著者の成果を集大成する。古代オリエントのライオンや獅子舞、仏教との関わりをはじめ、狛犬を木彫・陶製・石造・金属製などに系統立て、わかりやすい文章で解説。総数三〇〇点余りの写真を掲載し、巻頭グラビアには美術史上貴重な狛犬を著者自らが厳選して紹介する他、巻末には著者による狛犬や沖縄のシーサーに関する研究論文、現在の国指定重要文化財のデータを収録。

感想・レビュー・書評

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  • 狛犬についていちばんまとまった著書ではないかとおもう。絶版のようだけれど図書館で借りられた。石工さんに注文が入るときどんな感じなのかに言及した箇所が少しだけあってそれがあったのが嬉しかった

  • 著者は長年狛犬研究に携わってきた第一人者。現存する狛犬の紹介に加えて、その歴史に重きを置いた紹介になっており、どのように日本の狛犬が今ある姿になったのかが流れとしてわかります。
    スフィンクスやシーサーなど、類似系は世界中にあり、それが一つの流れを帯びたものだというのは理解しやすいことですが、それを一つ一つ事例を挙げて細かく解説しているため、かなり読みがいがある内容となっています。
    古代オリエントから始まり現代に至るまでの変遷を知ることができました。

    また、材料別の説明も詳細なものです。
    参道に置かれている狛犬は、石造が基本ですが、もともと宮中に取り入れられた頃は木彫が主だったことや、原料の産地で特に見ることの多い陶製や金属製も例を挙げて紹介しています。

    日本最古の石造りの狛犬は、東大寺南大門、運慶作仁王像の裏側にあるとのこと。
    南大門では、仁王像にばかり気を引かれて、狛犬の存在に気がついたことがありませんでした。
    導入された頃は、日本の石が掘りづらいと、宋から石材を購入して彫ったのだそう。
    まだ技術も定着していない当時、重い石を船で運び、恐らく宋から石工も連れて来て作った狛犬。
    十分な予算がないと実現しなかったことでしょう。

    日本人は古代中国人と違って種々の聖獣や霊獣を作り出すことはあまりなかったとのこと。
    龍やキリン、人魚など、日本での想像上の動物はほとんど外来のものである中で、狛犬だけは外から来たものを日本化して、日本独特のものに作り替えたということで、貴重な日本オリジナルの霊獣と言えるでしょう。

    また、狛犬の形態は時代の思潮に反映しており、子連れの狛犬は、世の中が天下泰平になり、民心がマイホーム型になったことを反映しているという指摘は興味深いものでした。

    系統立ててわかりやすい構成となっていますが、ほかの狛犬本よりも学術的な印象。
    巻末には著者の論文が掲載されています。
    まだまだ知らないことが多い領域なので、情報を集めていきたいものです。

  • 実は狛犬は私の研究課題だったりします。入れとかないとゼミの先生にくびり殺されそうなので、とりあえず本棚に仕舞っておこうという次第で・・・。

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