- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784901510424
作品紹介・あらすじ
数々の大型企画や季刊誌『へるめす』の創刊など、学問・芸術・社会をつなぎ、新たな文化シーンをパノラマのごとくくり広げ、人文知の形成に大きな役割を果たした一編集者の躍動感溢れるドキュメント。著者は、1997年から2003年まで岩波書店の社長を務めた。
感想・レビュー・書評
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大塚信一さんはこちらの本を先に出したのが、ぼくは『山口昌男の手紙』を先に読んだ。それは、きっとこの本に出てくる人の数がおびただしく自分とはあまり縁のないものに覚えたからであろう。たしかに、出てくる著者の数はおびただしい。その人たちをある意味組織し、多くの叢書、講座をつくりあげた大塚信一という人はどんな人なのだろう。編集者というのは、生の著者と接するだけに、生々しいエピソードを一杯もっているようだ。ぼくが面白いと思った箇所はいくつかあるが、そのうち二カ所をあげたい。一つは鈴木孝夫さんの『ことばと文化』をつくったとき。鈴木さんはだれかれかまわず自分が今考えていることを話すそうだが、このとき犠牲になったのは大塚さんだったのだ。しかし、「何回にもわたって何時間も話を聞かされた」という表現は迷惑受け身にとれる。これは本意か。また、服部四郎さんが『音声学』のカセットテープをつくるに際し、刊行後30年もたっていて、弟子たちは百数十か所の訂正箇所をあげたにもかかわらず、一つとして訂正に応じなかったこと、また入れ歯のせいでうまく録音ができたなかったというあたり、「一代の碩学の偉大さ」と「悲惨さを学ばなければならなかった」というのはすさまじいと思った。服部四郎さんのエピソードは文章にするには支障があってできないという。さぞかしすごいものなのだろう。ぜひ聞いて見たい気がする。
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