産業発展のルーツと戦略: 日中台の経験に学ぶ

  • 知泉書館
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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784901654340

感想・レビュー・書評

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  • 関東地方の工場に関する論文を読みました。戦後、関東地方の工場は、京浜工業地帯に集中していました。これには、いくつかの理由が考えられます。集積の利益が主な要因でしょう。取引相手が、近所にあれば便利です。熟練工の採用も便利です。また、公式、非公式のノウハウも流通しやすいでしょう。しかし、現在では、多くの工場は、京浜工業地帯を離れて、郊外へと移転しています。地価の上昇を考えれば、当然の選択です。また、都心部では、人材のリクルートも困難です。郊外の交通事情も改善しました。ただし、全ての企業が、郊外に流出したわけではありません。特殊の技能を持った中小企業は、都心に留まっています。また、集積の利益についても、短期と長期で分けて考察しています。短期的には、ノウハウの交換のためには、集積は大きなメリットになります。しかし、長期的には、集積のメリットはないと指摘している。確立したノウハウを生かすには、集積のメリットはありません。現在、一極集中で問題になっているのは、工業ではなく、サービス産業です。サービス産業には、集積の利益があるのでしょう。しかし、サービス産業と工業は、根本的に違うのでしょうか。サービス産業においても、短期的には、集積の利益はあるが、長期的には、集積の利益はあるのだろうか。もし、長期において、集積の利益がないとするならば、東京一極集中は、一時的現象に過ぎないということになります。

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著者プロフィール

園部 哲史 (そのべ てつし) アジア開発銀行研究所所長

「2023年 『次世代の実証経済学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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