著者 :
  • 幻戯書房
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784901998772

作品紹介・あらすじ

中国共産党によって破壊される前の北京天橋-酒楼妓楼ひしめく街で鼓姫(うたひめ)を愛した欣哉。半世紀後、その街で出会ったのは、亡き息子の許嫁だった。衝撃の処女作、究極の幽明綺譚。

感想・レビュー・書評

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  • (勝見洋一著/2600円+税)ブックデザインは間村俊一さん。
    < http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4901998773/ >

    これ、一応URLは書いたものの......amazonの書影だと、なにがなんだか全然わかりませんね(苦笑)。

    これもまた、本当に手間のかかったすばらしい本です。まずカバーは白い新バフン紙を使い、右肩部分や背のタイトル文字が金の箔押し。更にカバー中央には大きな「餞」という文字が透明箔でグッと押してあります。ガサッと存在感のあるカバーを外すと、おおお! グロス装の表紙。おまけに表1部分はタイトルが空押し、背は金の箔押しと、昔の豪華本を見るような、すごい仕様だ。

    しかし、本文を見て、さらに驚いた。なんとこの本、全部活版印刷だ......。

    扉は赤い枠と墨文字の2色。本文は鉛活字を使った活版印刷1色刷り。奥付を見ると「内外文字印刷」とある。やはり、内外さんか。活字で書籍本文を組めるのは、もう内外さん以外、あまりないといっていいくらい、日本の活字活版印刷は衰退している。

    でもやはりこうして、活字で組まれて活版印刷された本は、紙面の雰囲気がオフセット印刷されたものとまったく異なる。70代の主人公の男が中国・北京の酒楼娼楼がひしめく下町を舞台に、食欲と愛欲の濃厚に入り混じった世界が展開される本書にしっくりくる。

    Webで見る限り、活版印刷されるのは初版限定のようなので、気になる方はぜひお早めに書店へ。

  •  本を開き、3ページ目。あっ!と思った。赤枠の中にタイトルと、著者名、発行所。これ昔よく見た本だと。この時点で借りるのを決めた。
     最初、中国語に慣れなかったが、実際に料理を食べているような表現がここちよく、読み進められた。
     男二人、女二人が入り交じり、食と色と町との融合に滔々と浸る、古典の匂いを感じた。
     表装も本文の空白の取り方も美しく、改めて、本は文字だけでは成り立たないと感じた。手元に残したいと思った珍しい一冊だった。

     

  • タイトルが餞。振り仮名なしでは読めない。内容はというと中国での文革のときにそれまで経営していた骨董店をしめ、かろうじて逃げ帰った当時中籍と日本籍を両方持っていた主人公が北京に帰ってきたところから話がはじまる。北京にいたとき里子に出した息子と付き合っていた女性と出会い深い時間をすごすこととなる。北京の街の描き方が秀逸で、追想と悔いにおいかけられる主人公が動き回る街が生き生きと目の前に迫ってくるよう。不思議なお話です。

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