朝鮮民主主義人民共和国と中華人民共和国: 「唇歯の関係」の構造と変容

著者 :
  • 世織書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784902163544

作品紹介・あらすじ

親和と緊張が織りなす中朝関係の微妙なズレ、揺れる伝統的友誼。金日成‐金正日による北朝鮮外交の特質を気鋭の研究者が読み解く。

感想・レビュー・書評

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  •  対象期間は朝鮮戦争から本書出版(2010年)時点まで。『最後の「天朝」』より新しい時期も扱っているため、18年現在の中朝関係を見る上でも参考になる指摘が多い。
     中朝関係の規定要因として、安全保障(対米認識を含む)、イデオロギー、伝統的関係、経済関係(主に中国の対北支援)の4つを挙げた上で、第二・第三の要因は既に形骸化しているという枠組みを筆者は提示する。その上で、本書の表現を借りれば、米中接近による「朝鮮化」を一旦経た後での「朝鮮問題の国際化」という基本的構造が、中韓国交正常化の過程で形作られた。更に、2000年代の南北首脳会談と第二次核危機を経て、「二国間関係から多国間関係へ」進化していく、というのが筆者の分析だろう。同時に筆者は、「中国の北朝鮮に対する影響力は絶対的」「中国は日米側に近い立場」という国際社会の二つの誤解も指摘している。
     北朝鮮については、主体思想体系化の前後を問わず、中ソの影響の制限を含め、常に「主体」を意識していたようだ。また筆者は、北朝鮮の改革開放の可能性として、北朝鮮を取り巻く環境からは難しいとしつつも、政治体制の変化に直結しなければ、金正日の「決断」によってあり得ると指摘している。改革開放ではないが、金正恩政権が「体制保障」を求めつつ対米・対南関係改善に大きく転換したことは、まさにこの指摘と重なって見える。

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