吉本隆明の声と言葉。〜その講演を立ち聞きする74分〜 (Hobonichi books)

著者 :
制作 : 糸井 重里 
  • 東京糸井重里事務所
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本棚登録 : 220
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (76ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784902516197

感想・レビュー・書評

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  • 2008/08/27購入。知の巨人ってなんだろうなーと思いながら。楽しそう。

  • 小説家や評論家や哲学者が講演するという情報を得るや否や、どうにかして都合をつけて聞きに行こうとするのは、いったい何故なのか?

    それは、彼もしくは彼女が、好きで好きでしょうがなく、そして、もっともっと好きになりたいために、今生きて限り在る中でどうしてもその肉声を聞きたいとか生の姿を見たいということで、つい出かけて行ってしまうからなのか。

    あるいは、その著作が難解極まりなくて手こずっているために日頃から何とかして解りたいと願っていてスキあらばと入門書や解説書にまで手を伸ばしたりしている時、そこに救世主のように現れる講演という肉声で語られる紙に書かれた謎を氷解する場に救いを求めて行くからなのか。

    私には出版社主催や大学祭の講演会は、見つけたら行くという習慣が身に付いていて、中学生以来今までざっと150件は下らないと思います。
    あんないい作品を書く人がこんなくだらない人なのかと思ったり、ちょっと評価が低かったり疑問だった人にすばらしい語り口で魅了されたり(作品の独自性を見失う恐れもあることは百も承知ですが)、同時代に生きているからこそ味わえる貴重な体験をしてきたと思います。

    吉本隆明は詩人・文芸批評家としてめちゃめちゃ大好きで・すご~く尊敬していますが、好きな人の一部分だけより、もっともっと全部知りたいと思って、全著作を揃えて読んできていますが、それほど難解だと感じたことは一度もありませんでした。(よほど理解不可能なものは私が悪い訳ではなく理解させられない彼が未熟者なのだ、と思うようにしているせいかもしれませんが、そして一時忘却して後日再挑戦すればなんとかなるという楽観のん気主義!)
    ただ、既存の思考や流行の西洋思想を駆使することなく、自前の思想を構築しようと悪戦苦闘するあまりに、どうしても晦渋になったり未消化だったりするのはしかたのないことだと思いますし、誤解や勘違いの非難に対して喧嘩っ早いのはご愛嬌で、マルクスからCMまで諸問題を吉本流に講釈してくれる手腕は超一流のエンターテイメントです。

    このCDブックは、彼のファンの糸井重里が、読んでも難解な吉本隆明でも講演なら噛み砕いて解り易く語っているはずだと目をつけて、
    もう一人の熱狂的ファンで40年以上かけて吉本隆明の講演会を追っかけて講演を録音した宮下和夫(出版社=弓立社社長)のライブラリーを使って出したものです。
    この安価なちょっとつまみ食い的74分バージョンの他にも、「五十度の講演」というCD115枚とCD-ROM1枚の入った五万円のものと、DVD1枚で二万八千円のものがありますが、私の購入したのはDVDで、愛用のソニーのMP3のATRAC3plusにダビングして外出時にも携帯して聞いています。

    今年の11月25日で84歳の吉本隆明を私が今まで聞いたのは3回だけで、高校生の時ですから71~73歳頃、もちろんかくしゃくとされていましたが、もっと若い頃のものを聞くと、決然と颯爽として痛快で、なるほど1960年代には吉本教信者が大勢いたと揶揄されたのもむべなるかな、という感じでした。

    少し前に小林秀雄のCDがちょこっと評判になったことがありますが、その曖昧模糊とした寝言のような口演とは較べようがないすばらしいものだと思います。


    この感想へのコメント
    1.nakatadairake (2008/09/01)
    薔薇★魑魅魍魎さん、こんにちは。
    これ、ぼくも買いました。
    >それほど難解だと感じたことは一度もありません
    なんと、聡明な頭脳の持ち主!ぼくなんか『心的現象論』を買ったものの、まったく歯がたたなくて後悔した口です。
    DVDを買われたとか。太宰に関する講演をお聞きになっても、太宰の評価は変わりませんか?

    2.薔薇★魑魅魍魎 (2008/09/05)
    おおきに、おこしやす。実は1日の夜に拝見して書いたのですが字数オーバーで全部パーで落胆してました。ええっと、ご依頼の件は虚勢を張った負け惜しみに近いのですが、ただ、難解と叫ぶのはベルグソンやヘーゲル等もっと原理論的なものだけに差し控えたい。気弱な私ですが謎を解き明かすのが滅法好物なので~す

    3.薔薇★魑魅魍魎 (2008/09/05)
    例の太宰治への唾吐く言説は、もうお気づきだと思いますが、彼の現象的な生き方に対する普通の市民的なモラルからの非難を主目的としたもので、作品のファンの気持ちを逆撫ですることは百も承知で敢えてやりました。そのせいでsagami246さまには嫌われたみたいで少し後悔しています。けっして太宰治を全否定している訳ではありません。いずれ彼の小説の各論は書きます。花田清輝的アイロニーのつもりが力不足でしたかもね。

    4.nakatadairake (2008/09/05)
    >彼の現象的な生き方に対する普通の市民的なモラルからの非難を主目的としたもので
    すんません、意味がよく分からないのでアホにもわかるようにゆうてもらえませんでしょうか?

    5.nakatadairake (2008/09/05)
    つまり、普通の生活者からしたら、なんちゅうバチあたりなヤツや!てな感じでしょうか?

    6.薔薇★魑魅魍魎 (2008/09/06)
    そう!大当りで~す。吉本隆明の話題の延長だったので、少しオシャレに「難解」にしてみました。もちろん無頼派とか破滅型や厭世的な作家は、ゴロゴロ掃いて捨てるほどいる普通の作家より魅力的なのはご経験済みでしょうが、たった一人・太宰治だけは、徹底的なダメ人間それこそ人間失格な稀有な存在なのです。あ、また口が滑ってしまったではないですか。

  • 吉本隆明はすごいなあ、、、と思っているもので、
    もう企画が素晴らしすぎて買いました。コンピュータで
    作業しながら聞いていたりします。

  • CDと「気合いの入ったブックレット」のセット。
    何も言わずに「立ち聞き」してみてください。

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著者プロフィール

1924年、東京・月島生まれ。詩人、文芸批評家、思想家。東京工業大学工学部電気化学科卒業後、工場に勤務しながら詩作や評論活動をつづける。日本の戦後思想に大きな影響を与え「戦後思想界の巨人」と呼ばれる。著書多数。2012年3月16日逝去。

「2023年 『吉本隆明全集33 1999-2001』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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