- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784903579702
感想・レビュー・書評
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とても素敵な石川さんの、とても素敵な自叙伝的な本です。自叙伝なので、読んでもちろん「明日から使える」とはなりません。なのに、なぜでしょう?読むうちに「やはり私の授業は私にしかできない」とか、「もっと、自分らしく、後悔のないよう教員人生を送っていこう」と憑き物が落ちたように思ってしまうのです。自分の受け持っている生徒一人ひとりを思い起こしながらこの本を読むので、読み終わるのにもひと月くらいかかりました。「ヒドゥン・カリキュラムの隠された部分を全て見えるように書いた本」はなかなかありませんが、これはまさに見えない/見えにくい部分が見える、そういう本です。隠された部分の例は、全て素敵な石川さんの素敵な例なのです。石川さんはスーパーな先生なので、やろうと思ってももちろん真似できないのです。ですが、まるで懺悔をした後のように、心が洗われ、自分らしい部分を大事にした授業を考えたくなるのです。生徒のその子らしい部分をもっと大事にしてあげたくなるのです。まったく、すごい本を読んでしまいました。私の文ではまるで「すごさ」が伝わらないと思いますので、ぜひ学校の先生は入手難ですが何とか入手し、読んでほしいと思います。
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教育論、というよりは教育に関するエッセイ、かな。
しなやかに、したたかに、熱過ぎず、冷めてもなく、ゆるゆると教育をする大事さ。多様性かなぁ。
この人のはなし、もっと読みたいとおもった。 -
綴られるエピソードから見える石川晋さんの教師としての在り方に触れ,自然と自省が起こる。現場ではしなやかに生きることが本当に難しくなっていると感じる。でもここに綴られているように,一つ一つの出来事と向き合い,自分にできることを探しながら生きていくしかないのだと思う。それは諦めでなく,それが生きるということなんだろう。
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公立中学校でしなやかに生きるための工夫と抵抗の記録
教室をパーティションと本棚で三分割
教員24年目に1年間の育児休業を取得
自分で紙を持ち込んで学級通信を年間200号以上発行
UDへの違和感とオムニバス型授業の導入
壁を乗り越えられない成績開示
独白のように語られる一つひとつの実践とそれをささえる教育観は、“あすの授業”には役に立たないかもしれないが、“十年後、二十年後の教師としての自分”を考える材料を与えてくれる
《ぼくは、若手が身につけておきたいことは、語りつづけること、省察しつづけること、歴史に学びつづけることだと考えている。》
『くらしと教育をつなぐWe』誌に24回にわたり隔月連載(2012年6月~2016年4月)した記事をもとに、全面的に書き直してまとめた教育エッセイ、2016年初版刊
著者は北海道の中学教師(執筆時)、「NPO授業づくりネットワーク」理事長 -
組織の中でしなやかに生きることの難しさ、楽しさ、息苦しさが、本当によく分かります。
私は今は組織の中にはいませんが、以前の職場では、しなやかに生きることに苦慮していました。
今は研修講師で学校の先生とは職種が違いますが、共通して考えさせられる部分も多かったです。
組織の中で自由に振る舞うためにやっておかなければならないこと、考えておくべきことについても、書かれています。
人は、上手くいっていることにしか目が向きません。
しかしその裏には、多くの気を付けていることや努力していることがあります。
本当は、そこにこそ、目を向けなければなりませんね。