学校でしなやかに生きるということ

著者 :
  • 有限会社フェミックス
4.56
  • (6)
  • (2)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 42
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903579702

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • とても素敵な石川さんの、とても素敵な自叙伝的な本です。自叙伝なので、読んでもちろん「明日から使える」とはなりません。なのに、なぜでしょう?読むうちに「やはり私の授業は私にしかできない」とか、「もっと、自分らしく、後悔のないよう教員人生を送っていこう」と憑き物が落ちたように思ってしまうのです。自分の受け持っている生徒一人ひとりを思い起こしながらこの本を読むので、読み終わるのにもひと月くらいかかりました。「ヒドゥン・カリキュラムの隠された部分を全て見えるように書いた本」はなかなかありませんが、これはまさに見えない/見えにくい部分が見える、そういう本です。隠された部分の例は、全て素敵な石川さんの素敵な例なのです。石川さんはスーパーな先生なので、やろうと思ってももちろん真似できないのです。ですが、まるで懺悔をした後のように、心が洗われ、自分らしい部分を大事にした授業を考えたくなるのです。生徒のその子らしい部分をもっと大事にしてあげたくなるのです。まったく、すごい本を読んでしまいました。私の文ではまるで「すごさ」が伝わらないと思いますので、ぜひ学校の先生は入手難ですが何とか入手し、読んでほしいと思います。

  • 教育論、というよりは教育に関するエッセイ、かな。
    しなやかに、したたかに、熱過ぎず、冷めてもなく、ゆるゆると教育をする大事さ。多様性かなぁ。
    この人のはなし、もっと読みたいとおもった。

  • 綴られるエピソードから見える石川晋さんの教師としての在り方に触れ,自然と自省が起こる。現場ではしなやかに生きることが本当に難しくなっていると感じる。でもここに綴られているように,一つ一つの出来事と向き合い,自分にできることを探しながら生きていくしかないのだと思う。それは諦めでなく,それが生きるということなんだろう。

  • 公立中学校でしなやかに生きるための工夫と抵抗の記録

      教室をパーティションと本棚で三分割
      教員24年目に1年間の育児休業を取得
      自分で紙を持ち込んで学級通信を年間200号以上発行
      UDへの違和感とオムニバス型授業の導入
      壁を乗り越えられない成績開示

    独白のように語られる一つひとつの実践とそれをささえる教育観は、“あすの授業”には役に立たないかもしれないが、“十年後、二十年後の教師としての自分”を考える材料を与えてくれる

    《ぼくは、若手が身につけておきたいことは、語りつづけること、省察しつづけること、歴史に学びつづけることだと考えている。》

    『くらしと教育をつなぐWe』誌に24回にわたり隔月連載(2012年6月~2016年4月)した記事をもとに、全面的に書き直してまとめた教育エッセイ、2016年初版刊

    著者は北海道の中学教師(執筆時)、「NPO授業づくりネットワーク」理事長

  • 組織の中でしなやかに生きることの難しさ、楽しさ、息苦しさが、本当によく分かります。
    私は今は組織の中にはいませんが、以前の職場では、しなやかに生きることに苦慮していました。
    今は研修講師で学校の先生とは職種が違いますが、共通して考えさせられる部分も多かったです。
    組織の中で自由に振る舞うためにやっておかなければならないこと、考えておくべきことについても、書かれています。
    人は、上手くいっていることにしか目が向きません。
    しかしその裏には、多くの気を付けていることや努力していることがあります。
    本当は、そこにこそ、目を向けなければなりませんね。

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

石川晋(いしかわ・しん)
NPO 法人授業づくりネットワーク理事長
公立小学校国語科専科、「ばん走者」
1989 年より北海道中学校教員となる。以降、オホーツク、旭川、十勝、上士幌町の中学校を歴任。
2013 年3 月より学生時代から参加していたNPO 法人授業づくりネットワークの理事長に就任。
2017 年度、公立中学校を早期退職。以後、「ばん走者」として全国の小・中学校に入り授業を年間200時間程度実施。先生方と授業づくりや研修会づくりを行う。また、1 on 1 でのオンライン対話を通して先生方のやりたいことや悩みと向き合っている。
2022 年度より「ばん走者」としての活動を継続しつつ、神奈川県の小学校にて月~水曜日の非常勤講師となる。定点としての現場感覚を共有するため片方の軸足を現場に戻す。
趣味は、野鳥観察と音楽鑑賞、合唱など。

「2022年 『対話で学びを深める 国語ファシリテーション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

石川晋の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×