学校とゆるやかに伴走するということ

著者 :
制作 : 中村 泰子 
  • 有限会社フェミックス
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本棚登録 : 30
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903579887

感想・レビュー・書評

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  • 北海道の公立中学校教員を辞め、他の小中学校に入って研修を行ったり授業見学を行ったりするなど、フリーの伴走者として教育に関わっている筆者の記録。

    教員は自分の勤めている学校の視点から教育(特に公教育)のことを考えがちだけれど、この石川普さんの著書を読むと、学校を俯瞰した視点から描かれている。
    学校の先生ほど当事者として自己中心的ではなく、全くの部外者ほど学校の事情を分かっていないわけでもなく。「伴走者」という石川さん独特の立ち位置からの切り口で語られている。語られているのは、学校教育、地方の疲弊、教師教育など。

    読むとうーん…と頭を抱えて考え込んでしまうような本。読んでスッキリする本ではない。明確な答えが書かれているのではなく、学校教育を見る新しい視点や視座を与えられる。
    学校教育の置かれている状況が年々厳しくなっていると言える一方で、それでもできることはあるのだと希望を見つけられる一冊。

  • 北海道の公立中学校教員を辞し、フリーの“伴走者”として学校と教員にかかわっている著者の3年間の記録

    《教職を辞してから、ぼくの心持ちも見方も大きく変わりました。途中で文体が常体から敬体に変わったのも、まさにこの時期です。》──「おわりに」

    “しなやか”な教員生活と“ゆるやか”な伴走者の対比
    学校の中から見えるもの・外だからこそ見えるもの
    職につかずに全国を飛び回る生き方・働き方
    校内研修のファシリテーションの実際など、著者ならではの視点と実践が興味深い

    前作『学校でしなやかに生きるということ』につづき、『くらしと教育をつなぐWe』誌に隔月連載している記事に巻末対談をくわえた教育エッセイ、2019年初版刊

  • 前作『学校でしなやかに生きるということ』も良かったですが、これもすごく良いです。
    語り口も、話題の取り上げ方も、切り口も、何とも言えず良いです。
    どこが良いのか、とにかく良いです。
    何でしょう。
    不思議な読後感です。

    何カ所も気になるところがありました。
    いずれどこかで書きたいと思います。

    以下の部分は、ずきんと来ました。

    「しかし、一方で、一人ひとりの子どもを大切にするとか、コミュニケーション力を育てるとかいった言葉の下で、専門的な学びが大切にされないとしたらそれも大きな問題です。学校は子どもたちの学びを保証する場所です。また、子どもたちが生涯学び続けていくための基本的情報を得、マインド(心構えのようなもの)を育てる場所でなければなりません。」
    87ページ

    専門的な学びが大切にされない、楽しいだけの授業。
    専門の先生が、じっくりと、しっかりと取り組んだ、本物の授業を観たいです。
    楽しいだけの授業は、だれにでも作れます。
    素人の私にも。
    でもそれって、違うと思います。
    何かが違う。

  • 後でまた読み返したいと思ったページの端を折ることを繰り返し、すごいことになった。
    教員であれば読んでおきたい考察の連続。
    この本を契機にいろいろと考えたいことが、たくさん。

  • 石川さんが今の学校に抱かれている危機感と,そこへのアプローチとしての伴走のあり方が,具体的に綴られていて,物語のように引き込まれた。

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著者プロフィール

石川晋(いしかわ・しん)
NPO 法人授業づくりネットワーク理事長
公立小学校国語科専科、「ばん走者」
1989 年より北海道中学校教員となる。以降、オホーツク、旭川、十勝、上士幌町の中学校を歴任。
2013 年3 月より学生時代から参加していたNPO 法人授業づくりネットワークの理事長に就任。
2017 年度、公立中学校を早期退職。以後、「ばん走者」として全国の小・中学校に入り授業を年間200時間程度実施。先生方と授業づくりや研修会づくりを行う。また、1 on 1 でのオンライン対話を通して先生方のやりたいことや悩みと向き合っている。
2022 年度より「ばん走者」としての活動を継続しつつ、神奈川県の小学校にて月~水曜日の非常勤講師となる。定点としての現場感覚を共有するため片方の軸足を現場に戻す。
趣味は、野鳥観察と音楽鑑賞、合唱など。

「2022年 『対話で学びを深める 国語ファシリテーション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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