- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784903908342
作品紹介・あらすじ
「海やまのあひだ」に住まう日本人が、真に取り戻すべきは何か?
『海岸線の歴史』(2009年刊)で、日本のアイデンティティは海岸線にあると記した著者。
東日本大震災によって、海岸線が動き変化した以上、
もう一度、各地の海岸線の特徴を見ることなしに復興はない。
宮城、岩手、福島、北関東。それぞれに異なる海岸線、そこにあった暮らし、
そしてこれからの復興……。
3・11当時、内閣官房参与だった著者が、東北3県を歩きなおし、
震災後の「日本人の生きるかたち」を問い直した、これからの日本文明論。
感想・レビュー・書評
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3.11からちょうど一年後に世に出されたこの本は、震災後の海岸沿いの被災地を筆者が実際に訪ねて歩き、「海岸線」の視点から被災地を見つめ、これからの復興のビジョンを提言しています。日本は島国です。そんなの言われなくても知ってるよと、多くの人は思うでしょう。私もその一人でした。「島国」であることを頭の中では知っていても、街に住んでいれば実感として日本は島国だと感じることは少ないはずです。高い高層ビルやアスファルトで覆われた道路の中で生きる私たちは、段々と海の怖さ、自然への畏怖を欠落させてしまったのだと思います。それが大きな結果となってフクシマの事故にも繋がったと言えるのではないでしょうか。人間が作り出したものは、私たちの暮らしを進歩させてきました。だけど、やっぱり人間は自然には勝てません。「万里の長城」といわれるような堤防をつくっても、大きな自然の力には太刀打ちできませんでした。この事実を私たちはしっかりと胸に刻んでおく必要があると、この本を読んで思いました。是非、みなさんにも忘れてしまった感覚をこの本を読んで、取り戻していただきたいと思います。
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人工物に頼りすぎるなという復興へのスタンスには共感できるが、見て回ったという現状の記述に疑問多し。宮古や石巻では今でも海辺の市街地では1m近く浸水している…とか、石巻の日和山から港(?)を見ると防波堤が壊れて瓦礫の山が放置されている(それは瓦礫の仮置き場なのですが…)とか。他の地域の記述も鵜呑みにしてはいけないなと思いながら読了。
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120
「ちぎりきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 浪こさじとは」p64
人工構築物で自然災害を防ぐことはできないという前提 p128 -
3.11から一年以上たつが、やっと自分の中で震災の被害状況をしっかり知りたいと思うようになった。自分に時間ができたからと進まない復興へや原発問題へのいらだちがある。被災地にはまだ足をはこんでいないが、この本のおかげで震災の大まかな被害状況を知ることができた。
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「海やまのあいだ」「現場を知らない学者」「人工構築物では自然の猛威は押さえこめない」がキーワード。
前著「海岸線の歴史」と合わせてのクラフト・エヴィング商會の装幀(多分)は秀逸。
大事な教訓も、月日が経つと忘れてしまうでしょうね。忘れないタメに思いを変わり果てた海岸へ向けてみたいと...
大事な教訓も、月日が経つと忘れてしまうでしょうね。忘れないタメに思いを変わり果てた海岸へ向けてみたいと思います。。。