- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784904437087
作品紹介・あらすじ
危ういものは魅力的。だから人類は♪音楽の虜(とりこ)になった…。
とってもフシギな物語ですが
すっごく大事な音楽論です!
作曲家の春畑セロリ氏が、
すべての「音楽する人」、すべての「教える人」に贈る書下ろし音楽ノベルです。
架空の島、天空島の水戸内(みとない)音楽大学に赴任してきた謎の作曲家、
白菜漫伍郎(はくさい・まんごろう)が巻き起こす疾風怒濤の教育ドラマを
多彩なキャラで楽しく読ませます。
作曲家の白菜教授とピアノ科教授の紅葉坂凜子(もみじざか・りんこ)、
そして個性的なピアノ科2年生たちとで繰り広げる音楽大学の1年間に
さまざまな音楽的・人生的な模索と飛躍が描かれます。
感想・レビュー・書評
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内容だけで言うなら5つ星です、何の躊躇もなく。音楽に携わる者にとって、特にここ数年、「音楽家」という定義について考えていた私にとっては、どのページにもはっとさせてくれる言葉が散りばめられていて、自分以外にも同じようなことを考えている人が日本にいるのかと目頭が熱くなることもあり。
星をひとつ下げた理由は、表紙。誰のアイデアだったのか分かりませんが、茶化す理由がないと思うのです。内容は確かに音楽の本質に触れるようなものもあるから、とっつきにくいと判断されたのかもしれない。でも、小説内で書かれているキャラクタたちは一様に魅力的で、決してデフォルメされたイラストが必要な弱い存在感ではないし、大事なところというのはそれぞれが感じるべきで、わざわざフォントを変えたりサイズを変えたり、二色刷りにする必要はないと思います。春畑さんの書かれた内容だけで、充分に読者を惹きつけられるだろうし、この表紙のせいで、逆に読者を選り好みしてしまっているのではないのでしょうか。できることなら、イラストとフォントチェンジを全部とっぱらって、文庫版でもう一度出して欲しい。
昨今問題になっているMusic Snobbery、西洋音楽の方が優れているだとかクラシック音楽は頭の良いひとのもの、といった固定概念を優しく諭すように壊してくれます。優劣をつけるのではなく、個々の特徴を正しく理解することが、「個性を認める」ということだと思うのです。誰かよりも早く弾けるだとか、間違い無しに弾けるだとかは、音楽の本質からどんどんと離れて行ってしまう。心ありきなんだけれども、心を音に映すためにはテクニックが必要。でも、テクニックばかりに気を捉われると、またしても心が逃げてしまう。
相反する性質を常に抱えている音楽と言う魅力的な魔物に、どういった形であれ関わるということは、とても幸福でとても厄介な同居人を迎えいるというこというに似ていると思います。
音楽をされているかた、音楽が好きだとおもうかたは、ぜひ読んでいただきたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
音楽理論とかちゃんと勉強したことない私は、「へ〜」とか「ほ〜」とか、成る程と思うことばかり書いてあって、確かに勉強になりました。当たり前っちゃ当たり前のことだけど「表現したい音があるから、技術を得たくなる」というような趣旨については、改めて気付かされたというか。我が子に「練習せんか!」と言い続ける毎日だけど、彼女が表現したい音、感情を得ない限り自分からピアノに向かうことは多分ないんだろうな、と。
しかしこれらの「目から剥いでもらったウロコ」を考慮しても、この本の欠点というか最大の短所というか、評価を下げた要因は「読み難い」。
重要な点を強調してるのかなんなのか分からないけど、フォントの色を変えたり大きくしたり、読み難いったらありゃしない!