社会の中で居場所をつくる: 自閉症の僕が生きていく風景対話編・往復書簡

  • ビッグイシュー日本
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  • Amazon.co.jp ・本 (149ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784904515051

作品紹介・あらすじ

作家であり重度の自閉症の東田直樹さんと、精神科医・山登敬之さんの立場をこえる率直な往復書簡。「記憶」「自閉症の秘めた理性」「純粋さ」「嘘」「自己愛」「自分らしさ」など、根源的な問いが交わされる。2年5ヵ月、57回ビッグイシュー誌で連載。東田さんへの質問「A to Z」も収録。

感想・レビュー・書評

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  • 自閉症の作家・東田直樹さんと精神科医の山登敬之さんが、雑誌『ビッグイシュー日本版』で往復書簡として連載されていたもの。
    東田さんの世界的ベストセラー『自閉症の僕が跳びはねる理由』を元にドキュメンタリーとして映画化されたと知って、彼の著作をまた読んでみたくなった。

    映画『僕が跳びはねる理由』予告‐YouTube

    https://m.youtube.com/watch?v=OTObIBSkR70

    この連載執筆当時の東田さんは二十歳くらい。
    しっかりされてますね。確固たる自分の考えを持ち、親子くらい年齢の離れた精神科医とちゃんと【対話】している。
    自分の二十歳のころと比べても雲泥の差。月とスッポン。
    いや、いまの自分でもできてないですね。見習わねば。

    示唆に富む言葉もたくさんあり、著者ならではの感じ方に感性を刺激された。

    一般の人が「障害者は純粋」と思いたがる理由は「健康であることのうしろめたさ」がさせているのではないか、という、山登先生の指摘には、膝を打った。

    他におふたりの対談、東田さんへの一問一答もあります。

    • 夜型さん
      東田さんとお会いしたことがありますが、突発的な行動を取る人でした。ピアノをガンガン鳴らしたり。

      意思疎通がかなり難しいけれど、あらかじ...
      東田さんとお会いしたことがありますが、突発的な行動を取る人でした。ピアノをガンガン鳴らしたり。

      意思疎通がかなり難しいけれど、あらかじめ特徴を把握しておくと大丈夫でした。
      東田さんのお母さんが優しそうで穏やかそうな人で、彼の献身的なサポートをお母さんがされていました。

      彼が執筆した絵本は、よく読まれていましたね。
      2021/04/06
    • 5552さん
      夜型さん

      東田さんとお会いになったことがあるのですね!
      びっくりしましたが、急に身近に感じました。

      動画を見ましたが、文字盤や...
      夜型さん

      東田さんとお会いになったことがあるのですね!
      びっくりしましたが、急に身近に感じました。

      動画を見ましたが、文字盤やパソコンでおはなしされてるんですね。奇声や奇行は自分では制御できないとのことです。つらいだろうな、と思います。
      いつも一緒にいらっしゃるお母様の献身は私などでは想像もつかないくらいなのでしょう。

      絵本も執筆されてるんですね。
      この本でも、ときおり煌めくような文章があって、ハッとさせられました。

      貴重な体験をコメントくださり、ありがとうございました。
      2021/04/06
  • 自閉症についての知識はなく、自閉症の人が身近にいたこともなかったけれど、ふと図書館で手にして借りてきた。世の中には自分の知らないことが色々あると改めて思った。
    様々なタイプの自閉症があるのだろうが、東田さんは家族とも文字盤ポインティングや指筆談で会話をしているという。そうした東田さんが、自分自身や世の中について思い巡らす透徹した表現力に驚いた。
    こうして思いや考えをしっかりと言葉で表すようになるまでに、自分のことを理解してもらえない寂しさ、迷路から抜け出せないやるせなさや自暴自棄になる気持ちを抱えながら日々を送ってきたのではないだろうか。心に届く言葉が色々あった。

  • やっぱり興味深い!
    雑誌ビッグイシューの連載を読んでいました。そのとき東田さんの世界観に興味を持ちました。書籍にまとめられたもので、8年ぶりに再読しましたが、やはり興味深かったです。
    この本のなかでも述べられていますが、東田さんの事例から、他の自閉症の方々について同一視してしまわないように、と自戒を込めて書いておきます。
    人はみな違うということ。柔軟さを忘れずに相手をリスペクトしつつ、相手のことを知りたいと思います。

  • 往復書簡による対談。言葉とは本当に面白いもので、文章から怒っているように見えたり、そんなことはないですと答えたり、この書き方では相手が不快になるのではないかとハラハラすることもあって、まるで自分が3番目の存在としてその場に身を置くような感覚だった。支援者としての心構えや、私たちが感じる「うしろめたさ」について考えるきっかけになる。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:493.76||H
    資料ID:95160472

  • ただただすばらしい。

  • 重度の自閉症の著者は、文字盤で表現し、エッセイや詩を書いています。
    著者の物事の感じ方、考え方には深みがあり、思いもよらなかったことを考えさせられる、刺激的な本です。「記憶とは何か?」「自分を愛するとは?」など、誰が読んでも印象的な文章がきっとあります。読んだ後に気持ちがふっと楽になる本です。 (篠田 教員)

  • とてもよかった。
    正直、高尚すぎてわからないもころもあった。
    対談なので、単著とは違って、おふたりの考えや気持ちが深く読めるのがよいです。
    友だちとしての対談、また次回があるといいな。

    山登Dr.は、タケモトピアノの人にしか見えないんだけど…

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著者プロフィール

1992年生まれ。重度の自閉症でありながら、パソコンおよび文字盤ポインティングによりコミュニケーションが可能。著書『自閉症の僕が跳びはねる理由』が現在30か国以上で翻訳され、世界的ベストセラーに。

「2020年 『世界は思考で変えられる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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