- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784908117152
作品紹介・あらすじ
『般若心経』には不思議な魅力がある-。唱えれば、ふっと心が軽くなる。書き写せば、苦しいとか、悲しいとか言っている自分がちっぽけに感じてくる。僧俗に問わず唱えられる"国民のお経"には、「生き方の指針」が示されている。
感想・レビュー・書評
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スルスルと読める、素敵な本でした。
書道を久しぶりに習うことにし、その傍らで写経にもチャレンジすることとしましたが、般若心経は有名であれど内容を知らないため、勉強しようとこちらを手に取りました。
インド→中国→日本と伝えられてきたソレは、まさに壮大な伝言ゲーム。
こういった解説本では「あちらではああ言ってるが、あれは間違いだ」「世間で言われている是々は解釈がおかしい」「真相は別のところにある」など、著者の主義主張や属する派閥があるのは分かりますが、読み手としては「その話は求めていない」と読んでて疲れてしまうフレーズが多いものです。
それを本書では、著者は人生は修行でありまだその真っ最中の現時点での自己解釈と前置きしたうえで、薬師寺での修行や著者の体験を絡めて解釈を導き出す流れとし、常に経文の該当箇所を図説しながら展開していくため、分かり易さに加え好感をもって読み進めることができました。
純粋に信仰から写経される方もいらっしゃれば、精神統一や清書上達を目的とするなど、特に現代では般若心経に触れる方のその内情は様々かと思います。
著者は仏教について、苦しみが待つ人生における予習学であるのだと思うと述べてらっしゃいます。
今は「良いこと言ってるなぁ」で心に留めおき、本当に苦しい思いをしているときに記憶の片隅から引っ張り出せるような、般若心経を写経するにあたって意味を漢字から拾いながら丁寧に写そうと思える、そんな本でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示