鹿川(ノクチョン)は糞に塗(まみ)れて

  • アストラハウス
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784908184451

作品紹介・あらすじ

映画のように書き、小説のように撮る……
のちに世界有数の映像作家となった
映画監督イ・チャンドンによる傑作小説集
待望の日本語訳刊行!

映画監督として世界中にファンを持つ韓国の作家イ・チャンドンが、かつて小説家として発表し、「映像の世界への転換点となった」と自ら振り返る小説集、『鹿川は糞に塗れて(原題 『이창동 소설집 녹천에는 똥이 많다』)(1992)の邦訳。

収録される5作品はそれぞれ、朝鮮半島の南北分断、そこに生まれた独裁政治下の暴力、その後の経済発展がもたらした産業化や都市化に伴う諸問題などを背景にしている。すべての登場人物は、分断や社会矛盾の犠牲になって生きる「ごく普通の人びと」。
膨大な量のゴミで埋め立てられた地盤と労働者たちの排泄物の上に輝く経済発展、そしてそこに生まれた中間層の生活の構造を、作家イ・チャンドンは「糞に塗れている」と看破し、そこに生きる市民たちの悲喜交々の生を問う極上の物語を紡ぎ出す。

第25回韓国日報文学賞受賞

感想・レビュー・書評

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  • 『イ・チャンドン レトロスペクティヴ4K』オフィシャルサイト
    https://leechangdong4k.com/

    【イベント&オンライン配信(Zoom)】『鹿川(ノクチョン)は糞に塗(まみ)れて』刊行&「イ・チャンドン アイロニーの芸術」公開記念 イ・チャンドン 自作を語る トーク&サイン本お渡し会 | イベント | 代官山T-SITE | 蔦屋書店を中核とした生活提案型商業施設
    https://store.tsite.jp/daikanyama/event/kids/34513-1009100627.html

    鹿川(ノクチョン)は糞に塗(まみ)れて | 株式会社アストラハウス(ASTRA HOUSE)出版社
    https://onl.sc/H2paqzp

  • 鹿川は糞に塗れて
    韓国映画界の巨匠イ・チャンドン監督が30年前に書かれた小説の翻訳版
    その時代も今も続く南北分断、独裁政権下の学生達、急激な経済成長の元に暮らす人々の淡々とした様子が、思っていた以上に読みやすく描かれている

    初めて見た韓国映画はイ・チャンドン監督の
    『초록 물고기』
    以来、
    『박하사탕 ペパーミントキャンディ』
    村上春樹『納屋を焼く』を原作とした『버닝 バーニング』
    監督の映像の原点を文字で追うことで、その絵が広がって見える

  • 表題を含め5編の中短編が収められている。
    ほぼ私の世代の筆者は、本業が映画監督。
    訳も含め、かなり読み易い文体、映像の感覚が随所に見られるの画、筆者の本業と分かり納得。

    南北分断と朝鮮層を経て、20世紀後半以降の韓国の世情に渦巻くイデオロギー、中産階層の空気感が核となっている。
    特に表題の作品が然り。
    川辺に佇む鹿の姿・・・あたかも山水画を思わせる・・が装丁のどす黒さ、退廃感は??
    筆者の狙いが現れている~20世紀泣かばよりくに破れて山河在りき様となった国情。
    国を興すべくシャカリキとなった韓国・・中産階級が住むマンション群が鹿川に立ち並び、それはあたかも「糞尿痰」の上に屹立した建物。そこを対比させる筆者のアイロニカルなテクニック。

    他4遍も老若男女を配置し、個性豊かな人物像が描かれた佳作。
    惜しむらくは読み易さがゆえに、霞がかったままと終わり、スクリーンで見せたような監督業の技はマイナス評価。

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著者プロフィール

【著者】イ・チャンドン(Lee Chang-dong)
1954年生まれ。1981年慶北大学校教育学部国語教育科卒。1987年まで高校の国語教師として教壇に立つ。1983年小説「戦利」が東亜日報新春文芸中編小説部門に入選。1987年『焼紙』、1992年『鹿川は糞に塗れて』の2冊の作品集を刊行、作家として高く評価される。本書『鹿川は糞に塗れて』で第25回韓国日報文学賞受賞。1993年より映画の世界へ。2003〜04年、韓国文化観光部長官を務める。長編映画監督作品として「グリーンフィッシュ」「ペパーミント・キャンディー」「オアシス」「シークレット・サンシャイン」「ポエトリー アグネスの詩」、村上春樹の原作による「バーニング 劇場版」がある。2023年、フランスのアラン・マザール監督によるドキュメンタリー映画「イ・チャンドン アイロニーの芸術」が日本で公開される。

「2023年 『鹿川(ノクチョン)は糞に塗(まみ)れて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

イ・チャンドンの作品

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