- Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
- / ISBN・EAN: 9784909242068
感想・レビュー・書評
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各国のライターと別れる時、こちらまで悲しくなった。
世界は広いなと読んでいて思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今年のベスト出た
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アイオワ大学のこと勝手にめちゃくちゃ知ってる気になる。世界中からライターが集まって毎日朗読会とか勉強会とか、それだけじゃなくて人と人が集まるところには楽しみと悲しみとお酒と食べ物がいっぱい。滝口悠生さんはお酒大好きやなーと思う。あと英語わからへんすぎてワタシははっきり言って読むだけで他人事やのにめっちゃドキドキしました(笑)
柴崎友香『公園へ行かないか? 火曜日に』がとても良くてIWPに参加したひとの話をもっと知りたくてこれも読んだわけだけれど、ますます興味持ったし水村美苗『日本語が亡びるとき』も中上健次『アメリカ、アメリカ』もぜひとも読んでみたい。
元アセンスのtoi booksの磯上さんの名前とか出てきてそれも嬉しくなった。この本、toi booksさんで買ったし。一文一文がグニャリとしてるこのひとの文章はワタシにはとても普通に読めるけど、確かに翻訳するのは難しいのかなって思った。チャンドラモハン、カイ、アマラ、バイサ、チョウ、アウシュラのこと、もっと知れたらいいな。作品読めたらいいなと思った。世界とつながる感じがした。 -
アイオワ大学のInternational Writing Program(IWP)という作家留学プログラムに参加した著者が各国の作家とアイオワで過ごした日々を綴った日記。もともとfavoriteな作家とはいえ、とてもエモーショナルな作品でオモシロかった。
出自が異なるのはもちろん、小説家、詩人、劇作家など様々なバックグラウンドを持っている人たちと共同生活する中で見えてくる考え、景色がとにかく興味深い。初めは緊張感のあるところから徐々に打ち解けて特定の友人関係が形成されていく過程を日記で読めるのはなかなかないと思う。
海外に行くことで客観的に自分のことを考えざるを得ない場面が多く書かれており、ライター同士の英語の議論が理解できなかったり、翻訳する際の微妙な意味の差異に敏感になっていたり。著者の英語に関する葛藤は同じように思うことが多く、おおいに共鳴した。英語が理解できるようになったときにアクセスできる情報が何倍にもなることを本著を読み改めて痛感する。なぜなら正直に「英語が分からない」と書き、分からないことがどういうことなのか?真摯に自分と向き合っている様も日記として綴っているからだ。
日々リーディングプログラムなどに参加しているものの、日記から垣間見えたのは、良い意味でのモラトリアム(=アオハル)だということ。前半は終わりのない緩やかな日常でオモシロく、読み進めるにつれて他国のライターたちのパーソナリティも知ることになり終盤別れの場面のエモーショナルさは相当グッときた。モラトリアムは終わってしまえば「やがて忘れる過程の途中」となるのであるというタイトルが効いてくるし、表紙の絵も意味も最後まで読んで明らかになる仕掛けもよかった。That's life.