三流のすすめ

著者 :
  • ミシマ社
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本棚登録 : 313
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909394545

作品紹介・あらすじ

三流=多流(いろいろなことができる人)。

□一つに決めない
□目標を持たない
□天才ではない
□ほとんどガマンしない
□評価されない
…こうした「ない」が、これからは尊ばれる!
古典の知恵と鋭い洞察が導く、今を生きるヒント。

本当は一流をめざすことができないのに、周囲の期待に流されてめざしちゃったりする人もいます。本当は人生を楽しむことが一番得意な人なのに、毎日がとてもつらくなる。そういう人は一流をめざすことはきっぱりやめて、三流にシフトしたほうがいいと私は思います。本書は、そういう方のための本です。――本文より

三流とは、一人ひとりの可能性を最大限に大切にする生き方。
ポストコロナ期の処世術にして希望の書。

感想・レビュー・書評

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  • 誰もがイチローや大谷になれるわけではない。一流は無理ならせめて二流…、いやいや本書が勧めるのは「三流」である。しかし、三流といっても、役に立たない、ダメな人になることを勧めているわけではない。本書でいう三流とは「諸流」、すなわち多芸、いろんなことをする人のことなのだ。

    ご存知、作者の安田登先生は、まさに多芸の人。能楽師になる前は国語の教師。中小企業診断士の資格をとり、ロルフィングの資格をとり、ピアノをかき鳴らし、風水の本を書き、ゲームの攻略本を書き、3DCGの本を書き、AIDSの本を書き、寺子屋を主宰し…。何者?

    その安田先生が、三流になる極意も伝授。『中庸』に学ぶ学問の仕方は実践的。三国志の時代に魏の劉劭(りゅうしょう)という人が、人の見方について記した『人物志』も最高におもしろい。

    本書を通して伝わってくるのは、そのときそのときの人生を謳歌している安田先生の生き方。安田流三流のすすめ。人生に新しい視点をインプットしてくれる本。

  • 今まで半世紀の人生で、いろんなことに手を出し、迷ってばかりの40代を過ごしてきたことにモヤモヤしていたので、三流の本来の意味はいろいろなことをする人、孔子の「四十にして惑わず」の「不惑」とは、制限を取り払うことだという本の紹介だけ見て手にとってみた。

    いろいろ書かれている中、共感できるところもそうでないところもあったけれど、占いと同じく自分に都合のいいところだけ読み取って満足しておく。


    おもしろいと思ったのは、「なにか言われても気にしない方法」

    子どものときに読んだ本か漫画に「自分が嫌いだと思う人は、相手も自分のことを嫌いだと思ってる」というようなことが書かれていたことがずっと心に残っているけれど、この本の「すべての人から好かれる人なんていない。少なくとも人類の半分からは嫌われてもいい。そのくらいのつもりで生きていると気が楽です。」に、自分の悩みの小ささを思った。

    人の評価を気にせず、また、何事も「いい加減」に楽しく生きたいものです。




  • ポッドキャストの「新相対性理論」の中で紹介されていて、なんか今の自分に必要な気がする…と思って手にとったら、本当に必要なありがたい本だった。
    自分は一流志向だったなあと気付かされた。でも、本当は私三流だったのかも、自分の飽きっぽさに気づかず、何なら一流志向の人間だと相当思い込んでやってきていたような気がする。だからこんなに辛い日が多かったのかもしれない。
    自分は三流かもしれない、そう気づくと、自分がこれまで憧れてきた色んな人たちって実は三流の人かもしれないと思った。三流の人って、その技よりも、その人自身が魅力的な方が多いような気もする(三流に都合の良い解釈)。
    すごいなぁと思ったのは、著者の「楽しむ才能」。何も極めていないようなことをお書きでしたが、ここまで来るともう才能だ、と思った。自分からものごとを楽しみに行くことの重要さは自分でも分かっているつもりだったけど、こんなスケールの違う楽しみ方の発案ができるなんてまじですごい。
    こんな楽しみ方を考えられる自分を手に入れたら、その自分がいるだけで何もこわいものはないような気がする!

  • 想像してた内容と違った。
    三流=際立って何かに長けているのではなく、様々な知識を持った人のことで、このような広く浅い知識が尊ばれるということ…と想像していた。
    実際、今や社会問題は複雑に絡んでおり、例えば環境問題に特化した専門家だとしても、ジェンダーや政治といった他の問題も絡んでくるため、その分野の専門知識だけで語ることはできず、不十分だ。
    だから、いろいろな知識、経験を積むことが大切だ…という内容だと思っていた。

    私は筆者のような生き方はできないし、むしろこれを三流と呼ぶのか?と疑問に思った。

    一つのことを極めるわけではないという点においては、三流で合ってるのかもしれないが…

    また論語パートが長くてしんどかった。
    論語は齋藤孝さんの本で触れたことがあるが、本著ではかなり大量に書かれているため、読むのに苦労した。
    また筆者に賛同できない部分も少しあった。

  • 人間には一流をめざせる人と、そうでない人がいる。
    著者自身も「そうでない人」だったそうで、飽きっぽいと言われた性分のおかげで「今」がある、その道筋が並外れておもしろい。
    三流こそめざすべき生き方であり、人物像。
    イメージががらりと塗りかわり、それぞれが自分なりに三流的生き方を実践したくなる一冊。
    次は『すごい論語』を読まなくちゃ!

  • 後半は全体的に冗長だし、テーマとも少しずれている。

    一つのことに一直線ではなく、色んなことに没入しながら何おいても大成せずに生きていく様を螺旋的に生きると表現するのはおもしろかった。
    あとその生き方をジャズっぽいというのも良い。

    ただ、繰り返すが後半は蛇足かなー

  • 興味深く読めました。が、この方は言葉の意味通りの"一流人"だと思います。凡人はこんな集中力は持ち得ませんし、故に凡百の者なのですよと声を大にしたい。

    とても心に残ったのは、フワクは不惑でなく不或である、というところ。私も大人げなくまだまだ心の赴くままに色々なことに首を突っ込んでみようと思います。
    その方が人生楽しいでしょうから。

  • 渡邉康太郎さんが紹介されていたので読んでみました。

  • 瞬発的な記憶力・行動力・集中力の
    ある人なら可能かも知れないけど
    ちょっと無理....
    一流はもちろん無理だけど
    三流も無理....

    妙興寺ブックオフにて取り寄せ

  • 前半は「三流って何?」について

    多能にして「ものにならない」あきっぽさ
    夢中になると自分を忘れる自我の希薄さ
    すぐお腹いっぱいになって「足るを知ってしまう」あきっぽさ
    「器用貧乏」は裏を返せば「多芸多才」

    ひとつのことを究める「一流」ではなく
    いろんなことをやってみる「三流」の生き方

    後半は「易経」や「人物誌」に基づいて、人の生き方、人の用い方が語られます。
    (詳しくは本書を読んでね)。

    そして最後には、そういった知識を「ものにする」やり方が書かれています。全く知らないことについてどうやって学べばものになるのか具体的に教えてくれてるハウツーです。

    本は身銭を切って買ったほうがいい、とか、困った時には「おもしろくなってきたぜ」と笑い飛ばす心構え、とか、小ネタもてんこもり。

    この人の本の読み方はものすごく示唆に飛んでいるし、この人の古典の知識は本当に身についたモノだと思わせるし、とりあえず『易経』を読んでみたくなる、そんな本です。

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著者プロフィール

安田 登(やすだ・のぼる):1956年生まれ。 能楽師のワキ方として活躍するかたわら、『論語』などを学ぶ寺子屋「遊学塾」を、東京(広尾)を中心に全国各地で開催する。関西大学特任教授。 著書に、『身体能力を高める「和の所作」』(ちくま文庫、2010年)『異界を旅する能』(ちくま文庫、2011年)、『日本人の身体』(ちくま新書、2014)、『身体感覚で『論語』を読みなおす――古代中国の文字から (新潮文庫、2018年)、『見えないものを探す旅――旅と能と古典』(亜紀書房、2021年)『古典を読んだら、悩みが消えた。――世の中になじめない人に贈るあたらしい古典案内』(大和書房、2022年)、『魔法のほね』(亜紀書房、2022年)など多数。

「2023年 『『おくのほそ道』謎解きの旅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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