- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784909483928
作品紹介・あらすじ
『82年生まれ、キム・ジヨン』の大ヒットや、ハン・ガンのアジア人として初めてのブッカー賞受賞など、いまや海外文学ファンにとどまらない人気と注目を集める韓国文学。
毎月のように翻訳出版もされるようになった今、注目の作家と作品を紹介するガイドブックが登場!
「『キム・ジヨン』の次に読むべき本」が見つかる一冊です。
感想・レビュー・書評
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韓国の小説『82年生まれ、キム・ジヨン』が日本でも広く注目されることになってから、フェミニズムの流れを汲んだものだけでなく、エッセイ、詩集、SF、ミステリーなどの様々なジャンルの韓国文学を目にする機会が増えてきました。
『82年生まれ、キム・ジヨン』にあっては、「わたしもキム・ジヨンだ」という数多くの日本女性の声が、ブクログにもレビューとなってあがっています。
今まで言葉にできなかったモヤモヤしていたもの、社会のなかで感じていた息苦しさの正体。それらがなんだったのか、わたしたちは『82年生まれ、キム・ジヨン』を読むことによって、モヤモヤしたものがはじめて言葉となり、息苦しさの正体がはっきりと見えてきたのです。
韓国で生きる女性たちへの深い共感と、彼女たちのフェミニズムに対する向き合いかたに、日本で生きるわたしたちも、世の中の不条理に声をあげていいんだということに気づくことができました。
しかしながら、韓国では盛り上がるフェミニズムが、なぜ日本では共感されるものの、そこまで盛り上がらないのか。このブックガイドには、その背景にも通じるであろう、韓国の歴史が「バックグラウンド」として説明されています。
それが簡単に手を取り合えない理由でもあり、またフェミニズムに対する表現の仕方ひとつにとっても違いとなって現れてくるのでしょう。
それでも、わたしたちが抱える同じ苦しみに対して、理解と共感が生まれたのなら、それに立ち向かい乗り越えるための繋がりができるのかもしれない。それを可能にしてくれるのが文学なんだということに気づいたのも事実です。
このブックガイドに紹介されている物語には、フェミニズムに限らず、社会的な圧力や差別、「ふつう」に対する葛藤や、生きづらさ、生の苦しみや絶望、そういうものを抱えながら生きる人たちがたくさん登場します。
また「民主化運動と韓国文学」、「喪失とトラウマに向き合う韓国文学」などのトピック、「韓国文学と映像」、「K-POPアイドルとK文学」などのコラムも、現在の韓国を知る上で読みごたえがありました。
わたしは紹介された作家さんのなかでも、チョン・セランさんが好きです。
「ジャンル小説と文学の垣根を越えて現実を描く」と紹介されるチョン・セランさんの作品『保健室のアン・ウニョン先生』は、ガイドブックの本文中で何度となく登場します。この作品は不思議な世界観のなかで、登場人物たちは現実世界の孤独や生きづらさに立ち向かうことになります。それでも物語のなかの彼らは飄々と軽やかにわたしたちに希望を見せてくれます。
ガチガチのフェミニズムや、ヒリヒリくるような痛い読み心地は苦手だけど、ちょっとその世界に触れてみたいなと思っている人にもチョン・セランさんの作品はおすすめです。『屋上で会いましょう』は短編集で読みやすいですよ。
25人の作家さんが紡ぐ「今の私たち」とともにある物語。もしかしたら、あなたの物語が見つかるかもしれません。 -
最新の作家作品の翻訳書籍が日本でも多数出版されるようになった韓国文学。現在、人気の作家から代表作品の解説を網羅したブックガイド。フェミニズム文学のみならず純文学からSF、韓国の文化背景まで事細かな説明が嬉しい。
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最近気になっている韓国文学の簡単な道しるべとなるような本を探していた。
ざっくりと端的に韓国の歴史を抑えた上で、韓国の本を読んでみたい…書店で多くの韓国本を見かけるようになったが、どの本を選んでいいのかわからない…といった人にはオススメだと思う。サクッと短時間で読めた。
この本をもとに、様々な著者の本にチャレンジしていきたい。
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/757819 -
摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50269255 -
1990年代の後半から、K文学は世界的に広まるようになり、翻訳される言語も倍増しているそうです。
・作家別のおすすめ作品
・文化的な背景
・文学賞の紹介
など、盛りだくさんです。
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こんばんは!
小田急線の事件、ご存知ですか?
なんかあの事件、「私たち」ひいては「あなたたち」の感がすっごく伝わってくるんで...
こんばんは!
小田急線の事件、ご存知ですか?
なんかあの事件、「私たち」ひいては「あなたたち」の感がすっごく伝わってくるんです。
おそらく、ある1人の女性への恨みなんでしょうけど、それが女性全体へのヘイトに繋がっている感じが、個から集団へと膨らんでいく感じ。それが個人の中で起こっている気がするんです。
感覚違ってたら全然スルーで構いません。でもなんか、伝えたかっただけです。
わたしは小田急線の事件の犯人が犯行に及んだ動機を知ったとき、2016年にソウルの江...
わたしは小田急線の事件の犯人が犯行に及んだ動機を知ったとき、2016年にソウルの江南駅近くで起きた女性刺殺事件のことを思い出しました。
韓国のフェミニズム、女性嫌悪(ミソジニー)について触れられている本を読んでると、この事件のことは必ずといっていいほど書かれています。
「ある1人の女性への恨みなんでしょうけど、それが女性全体へのヘイトに繋がっている」
naonaonao16gさんのおっしゃるとおりだと思います。
そこには、女性はこうあるべき、(ここではもしかしたら男性のしたいこと、言いたいことに黙って従え……みたいな?)という犯人の身勝手(もしくは旧態依然)な女性像に当てはまらないのが、犯人のいう「勝ち組」とか「幸せそう」な女性なのだと思います。
もし、同性である男性から同じように、犯人が言うところの「バカにされたり」、「拒否されたり」したとしたら、同じ犯行を起こすかと考えてみました。
ただミソジニーだけが本当に犯人の動機なのかは、もっと慎重に考えなければいけないなと思いました。
きっとこれからそういう面ばかりが表に出てくるかもしれませんが、そういうときこそ、冷静に幅広い視点で、日本の社会が抱える問題まで考えないと、これからも同じことが起こりそうな気がします。
それでも今回の事件はゆるせません。
その場におられた方々はどれほど恐ろしかったことでしょう。
被害者の方々の一日も早いご快復を心よりお祈り申し上げます。
こんばんは!お返事ありがとうございます^^
ソウルの江南駅での女性殺害事件、恥ずかしながら全く知らなかったので調べてみ...
こんばんは!お返事ありがとうございます^^
ソウルの江南駅での女性殺害事件、恥ずかしながら全く知らなかったので調べてみました。
この事件、今回の小田急線の事件と同様、最初は「通り魔的」とされながらも、犯人の供述からミソジニーではないかと言われているんですね。
そして、一人のツイートが多くの人へ拡散される様子が、なんとも韓国らしく、やはり「私たち」ではなく「私」なんだなとまた思いました。
この事件も、小田急線の事件も、やはりミソジニーだけが理由ではないかもしれません。この事件は犯人の精神疾患もあったでしょうし、小田急線の事件も、犯人が逮捕当時職業不詳だったこともありますし、これから語られる供述もあるでしょうし、なんとも言えません。でも、動機って一つとは限らないし、そのうちの一つであってもおかしくないなと、そんな風に思いました。
また、すごく個人的ですが、小田急線の事件の犯人が同い年なんですよね。なんだかそういうことも相まって、時代背景も関与している事件となると、とても苦しいんです。
女性に向けられる旧態依然とした見方もわかるし、それはそれとして自由に生きる女性の気持ちも理解できる。世代としてはそういう世代かもしれません。(こうしてひとくくりにするのは乱暴かもしれませんが)
ジェンダーの話になると熱くなりすぎてしまい、つい視野が狭まってしまいます…
地球っこさんに話すと視野が広がります!
本当に、いつもありがとうございます!!
あと、note新たに書いたんですけど、その時に、わたしは「女性」とか「男性」とかひとくくりにしてしまっていて、「私たち」の見方をしているんだなと改めて思わされました…この点も本当にありがとうございます!