論考 日本中世史: 武士たちの行動・武士たちの思想 (日本史史料研究会ブックス)
- 文学通信 (2022年3月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
- / ISBN・EAN: 9784909658708
作品紹介・あらすじ
今、歴史研究者とか名乗っているヤツらも、子供のころ、いろんな歴史の「おもしろさ」に触れて、その道に入ったはずなのだ。オレのように――。
そして歴史の楽しみ方は、なにも研究することばかりではない。小説・エッセーを書く、マンガやイラストを描く、ゲームをやる、あるいは作る。そして我が家で子供たちに昔の人の物語を語り聞かせる。それぞれの人が自分のやり方で歴史を楽しんでほしい――。
中世史研究者、歴史愛好家、すべての歴史好きに贈る、前代未聞で形容しがたい、しかし抜群に面白い歴史読本。
本書で歴史がもっと好きになることは請け合いです!
【「歴史は少し高尚な娯楽」と言うたのは亀田俊和氏であるが、これを聞いた時、我が意を得たと思った。実際、『吾妻鏡』や古文書を含め、「ナンじゃ、こりゃ? 『少年ジャンプ』より、おもしれェー!」と笑ってしまうモノは、ケッコーある。そして、ゲラ! ゲラ! 笑うのだけが、「おもしろい」のではないのである。涙がこぼれるほどに感動するコトも「おもしろい」なのである。今、歴史研究者とか名乗っているヤツらも、子供のころ、いろんな歴史の「おもしろさ」に触れて、その道に入ったはずなのだ。オレのように。それなのに、大学教員・大学院生の中には、「歴史研究をしている」だけで自分を「偉い」と思い込み、一般の歴史愛好者を見下しているヤツらがいる。露骨に態度に示すヤツもいれば、外面はフレンドリーな態度をとりながら腹の中真っ黒というヤツもいる。いずれにしろ、こーゆーヤツらの研究に限って、たいしたことない。バッ! カ! じゃなかろうか!…あとがきより】
感想・レビュー・書評
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一話2ページから数ページと読みやすく、中世、主として鎌倉時代の仕組みや出来事、人物について面白く学べる。
硬い歴史学の記述に対して、歴史を彩る人の行動原理や生々しい喜怒哀楽を身近に感じることができた。
元々ブログに書かれたコラムで、かなり癖のある文章のため、好き嫌いはあるかもしれない。
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著者の替え歌のセレクトが新旧幅が触れてて驚いた。
また、荘園の例えはわかりやすいかは別として面白かった。 -
細川さんのエッセイ集。
軽くて読みやすいが、ところどころ鋭い。
鎌倉から室町の武士像が好意的に書かれているが、武闘派ヤクザそのもの。
平家が勝ったほうが日本人にとっても東アジア的にもよかったんじやないか。 -
文学通信のtwitterを見て「世の中には面白そうな人がいるなぁ」と思って手に入れたが、期待通り「こんなにおもしろい人がおる」と感心した。そうとうにくだけた語り口で展開される鎌倉幕府後期~南北朝~室町あたりの論考であるが、やはりそこは「論考」なので、資料を丁寧に読み込んで組み立てられた「論」に門外漢であっても心打たれるんである。
普通だと語り口のわざと伝法なあたりとか、今一つ「替え歌」としてはどうかという部分で粗を探しかねないのだが、なにしろ「ちゃんとしている部分」が本当によいので、ああ、面白えなあと思って読んだ。
あたくしめも古典における「茶杓一個ちょーだい」の部分が好きです。 -
硬い印象の書名とは裏腹に、極めて軽妙な語り口の歴史コラム集。替え歌のような軽いものから、史料紹介・解説もあり、果ては研究報告の注意事項までと幅が広い。ある程度の知識を持ってから読むとより面白いと思う。
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中世史、特に鎌倉時代の武士の実態・日常について細川先生の軽妙な筆致で非常に頭に残りやすい。
また歴史学を学ぶにあたって重要なポイントもちらほら出てくるのでその意味でも勉強になる。