ヒロインたちの聖書ものがたり――キリスト教は女性をどう語ってきたか

著者 :
  • ヘウレーカ
3.67
  • (2)
  • (0)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 41
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784909753090

作品紹介・あらすじ

聖書に登場する女性たちは男性に比べると圧倒的に少ないが、男性中心の古代社会で、歴史に翻弄され失意の人生を送った女性もいれば、機知と機転でたくましく生き延び祝福された人生を終えた女性もいる。そうしたヒロインたちの生身の姿を生き生きと描き直すことによって、聖書全体の流れを俯瞰しようというのが本書の試みである。

ヒロインたちは、夫に裏切られたり、屈強な男たちに武力で囲まれたり、若くして夫と死別したり、誠実な夫を権力者に殺されたりした。また、若い側女への嫉妬、無理解な夫への義憤、女同士の競争、さらにはレイプと家族による沈黙の強要など、聖書は彼女たちの過酷な現実をそのままに語る。しかし、それでも希望を失わず自らの人生に向き合い、絶望的な時代に、未来に信頼することをやめなかった女性たちがいた。本書はかのじょたちの視点でものがたりを語る。

聖書に関心があるけれど、全体の流れがわからず、分厚くて読み通すことが難しいと思っている人にとっては、ヒロインたちのものがたりを通して聖書が伝えたいメッセージの輪郭が見えてくるでしょう。また、ある程度聖書になじんでいる方にとっては、聖書が提起する人間と社会にまつわる重い課題にあらためて対面する契機となることでしょう。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 聖書全体をヒロインたち――エバ(イヴ)、イエスの母マリア、マグダラのマリア等――を中心に読み解く一冊。男性中心に描かれる聖書の物語に対して、著者は「このような読み方もできるのでは?」と興味深い解釈を示している。
    聖書本文を読んだことが無くても全体の流れがなんとなく摑める構成がいい。一部の単語が「かれ」「かのじょ」のように平仮名表記にしている点が気になる。

  • 文献学的立場から聖書を解説してくれてる珍しい本。
    登場人物と大まかな流れの解説があって読み易い。
    女性をピックアップという試みも新鮮。

    ただ、かんじをつかってなかったり、やや強引な推測が多くて…

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

青山学院大学理工学部教授、宗教主任(チャプレン)としてキリスト教概論を担当。ハーバード大学神学部博士課程修了(専門:新約聖書と初期キリスト教の諸起源)。聖書に登場する「寡婦(やもめ)」のように古代社会で周辺に生きる人びとに関心を持つ。訳書に『叫び声は神に届いた──旧約聖書の12人の祈り』(W.ブルッゲマン著、日本キリスト教団出版局、2014年)、共著『3.11以降の世界と聖書──言葉の回復をめぐって』(日本キリスト教団出版局、2016年)がある。

「2020年 『ヒロインたちの聖書ものがたり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

福嶋裕子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×