- Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
- / ISBN・EAN: 9784909992031
作品紹介・あらすじ
自分にとって大切だと思うことを、思い切って言葉にする。
誰からも必要とされなくても、見向きもされなくても、声を発し続ける。
それが僕にとっての「つくる」ということ。
建築する日々に励みながら、旅先でのスケッチや執筆活動にも精をだす若き建築家と、奈良の山村に私設図書館をつくり、執筆や自主ラジオなど様々な形でメッセージを発信する若き思想家が、些細な日常の出来事や思索をつぶさにみつめて綴った往復書簡。
私たちにとって「つくる」とはなにかを問いかけ、つくる喜びについて対話を重ねながら、生き物として生きやすい社会を模索していく。
書簡をとおした対話のトピックスはまさに縦横無尽。働くことやお金のこと、ふたつの原理の往還、外と内の自然、そして建築や本の話まで広がっていきます。
ふたりの対話をじっくり観察すると、前提を問い直すこと、自ら思考し行動することは、何かを「つくる」ことへのきっかけにつながるのではないかと感じます。
互いのちょっとした違いを認め合い、相手の言葉を受け止め、内省し、さらに言葉を紡いでいく二人の姿勢は、私たちの日々の生活や思考へのささやかな刺激となり、生き物として少しでも生きやすい社会をつくるヒントになるかもしれません。
また、ふたりの書簡を楽しく彩る青木海青子さんのイラストも見どころです。
対話相手の知性に対する敬意を示すのは容易なことではありません。「打ち返しやすいボール」を打ち込むことではもちろんないし、かといって「打ち返せないボール」を打ち込むことでもない。そのあわいの、相手が最高のパフォーマンスを発揮できる球筋をピンポイントで狙う技術がふたりとも卓越しています。
――― 内田 樹
初版のみ、浮き出し(エンボス)加工、封蝋に見立てたシール付きの特別仕様です!
感想・レビュー・書評
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お友だちに勧められてお借りした。
往復書簡=手紙ならではのゆったりとしたテンポ感や話の広がり方が心地よい。ソクラテスの思想、建築の持続可能性、お金と時間の関係、労働など観念的なテーマを通じて、ふたりの中で「つくる」や「つくる人」の概念が深められていく。見解や気付きだけでなく、葛藤も素直に綴られているところがよかった。お互いに信頼しあっている関係性が垣間見える。
表紙や本文の柔らかい紙質は、便箋で手紙を読むときと似た気持ちになる。灯光舎は本の佇まいにもこだわっているそうで、他の本も手に取ってみたくなった。
爆速で読み切るより一日一通くらいのペースでじっくり進めるのが楽しい本。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
女子栄養大学図書館OPAC▼https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000067281
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/802833 -
・紙の手触りと手紙のような装丁がおしゃれ
・挿絵がかわいい
・11章の光嶋裕介さんの話がよい
・申し訳ないけど、青木さんの話にピンとくるところがなくて、しばらく読み進められなかった
・『僕はウーバーで挫折し、山でシカと闘い、水俣で泣いた』の引用がよい
「今のシステムが行き詰まっているとすれば、その解決策は特権集団以外の場所に見出す必要があるということだ。それは、男性、東京出身、高学歴の東大准教授として、この「デフォルト」から多分に恩恵を受けている自分のうちからでてくるものではないし、マルクスを読んでいるだけでは出てこない」
・『形を読む』も面白そう
「情報の伝達という面から、自然科学で起こる最大の問題は、じつは情報の受け手が、馬鹿だったらどうするか、というものである。相手が馬鹿だと、本来伝達可能であるはずの情報が、伝達不能になる。」
・「異質なものを排除しないで、受け入れながら考えてみたい。孤立を恐れずに、自分の言葉や行動がどのように受け取られるかをあまり気にしすぎないこと、要は「空気を読まない」馬鹿になる。」