バビロニア創世叙事詩 エヌマ・エリシュ

著者 :
  • ぷねうま舎
4.00
  • (0)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 42
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784910154398

作品紹介・あらすじ

海の女神ティアマトに対する、バビロンの守護神マルドゥク、原初の混沌に対する闘いを描く創世神話。ここに登場するメソポタミア・パンテオンの神々は、世界と人間の起源を語る上で、一つとして欠かすことのできない役を振られている。
メソポタミアの神殿で、ともに朗誦されたと思われる創造譚。太古の人びとの祈りと陶酔と脱魂を伝える。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 注釈に試訳という語が頻出するので決定版というわけではないようだが、そもそも表題の書に触れるのは初めてのことなので気にならない。マルドゥク神をただひさすら讃える内容であることも知らなかった。
    似たようなところで正信偈を思い出す。教えを唱えているわけではなく偉業を讃えさせていると知ったとき、浄土真宗に対する信仰は失せた。もとからもってなかったけど、欠片もなくなった。

    本書解説によれば、三世紀の人物が他者の著書から引用したエヌマ・エリシュをして「自然現象の寓喩」だと著している。
    三世紀に存在した理性が喪失ないしは表出することを許されなかった期間はやはり暗黒時代というのではなかろうかと思いつつ。

    「天上の出来事は地上の出来事の雛形となる」という。
    この概念を初めて知ったのは1980年代の頃、『シルマリルの物語』の物語によってだった。創造の音楽の乱れを許した理由は今を持って謎であるが余談はさておき。
    名だたる創作者たちはやはりほうぼうの神話にもある程度触れており、参考にしたというにはやや稚気がすぎる引用ないしは流用を行っているようにも見える。
    こういうことを知ることは必須ではないが、えもいわれず解像度があがるカンジはする。

  • いままで聖書関連の書籍であらすじ程度しか読んだことがなかったけど、邦訳が出るというのでありがたく拝読。解説が丁寧で読みやすい。しかし、毎度逆切れで父神・母神を殺しておいてその死体を裂いて世界を作っていく、人間は神が楽するための奴隷として作っただけなんて恐ろしく殺伐とした神話だなあとあらためて思う。そのあたりは解説では王位を暗殺で奪う実際の歴史の反映という点に触れられているけれど、やはり征服する側である帝国の神話ということなんだろうか。

  • ・「滅ぼしなさい、父よ、彼らの苛立たしい行動を、昼には休めるように、夜には眠れるように」

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

1948年生まれ. 専攻, 旧約聖書学・古代オリエント学. 現在, 立教大学文学部教授.
著作:『古代メソポタミアにおける死者供養の研究』(ドイツ語版, 1985),『創成神話の研究』(編著, リトン, 1996), 『ギルガメシュ叙事詩』(編訳, 1996), 『創世記』『エゼキエル書』『ルツ記』『コーヘレト書』旧約聖書Ⅰ, Ⅸ, ⅩⅢ(1997−98), 『歴史と時間』歴史を問う2(編著, 岩波書店, 2002), 『古典としての旧約聖書』(聖公会出版, 2008),『古代メソポタミアの神話と儀礼』(岩波書店, 2010), 『この世界の成り立ちについて──太古の文書を読む』(ぷねうま舎, 2014)『新装版 ギルガメシュ王の物語』(ぷねうま舎, 2019)ほか.

「2022年 『バビロニア創世叙事詩 エヌマ・エリシュ  』 で使われていた紹介文から引用しています。」

月本昭男の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
カレル・チャペッ...
J・モーティマー...
E.H.カー
ヴィクトール・E...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×