「戦争がもたらすものを撮る」: 沖縄戦映画『島守の塔』監督・五十嵐匠の軌跡

著者 : 堀ノ内雅一 五十嵐匠

• 泉町書房 (2022年8月5日発売)

作品紹介・あらすじ

コロナ禍による1年８カ月の中断を乗り越えて完成した奇跡の映画『島守の塔』。監督・スタッフ、萩原聖人・村上淳・吉岡里帆らのキャストが「命どぅ宝」（命こそ宝）を伝えたいと困難に挑んだ製作ドキュメント。貴重な製作過程を五十嵐匠監督のロングインタビューを中心に記す。
映画『島守の塔』はウクライナ危機で世界が緊迫する2022年夏から秋に公開される。第二次世界大戦末期に、兵庫県出身の島田叡と栃木県出身の警察部長・荒井退造といった本土から派遣され戦火に散った二人の官僚と沖縄県民の姿を描き、命の大切さを訴える映画。
またこの本は、厳しい日本映画界で30年以上、自分の企画でお金を集めて映画を作り続けてきた監督・五十嵐匠の物語でもある。室田日出男を起用した劇場デビュー作『津軽』から『島守の塔』までの制作秘話を満載。映画人、支援者たちが、映画にかける思いを語る。監督・五十嵐匠の軌跡を立教大学時代からの盟友であるライターの堀ノ内雅一がインタビューした。日本の映画制作の現場で奮闘してきた一映画監督の姿をとおして、日本のコンテンツ作りのあり方にも一石を投じる書です。
登場作品
『津軽』『ナンミン・ロード』『兼高かおる世界の旅』『ＳＡＷＡＤＡ』『地雷を踏んだらサヨウナラ』『天国までの百マイル』『みすゞ』『HAZAN』『アダン』『十字架』『二宮金次郎』『島守の塔』ほか　

感想・レビュー・書評

[猫丸(nyancomaru)さんの感想 · 2022年7月28日]

映画『島守の塔』公式サイト
https://shimamori.com/

泉町書房｜お金がそれほどなくても、権力がなくても、年をとっても、ひとりでいても生きやすい社会をつくる
https://izumimachibooks.com/

「戦争がもたらすものを撮る」 堀ノ内雅一(著) - 泉町書房 | 版元ドットコム
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784910457031

[☆ベルガモット☆さんの感想 · 2022年10月30日]

この本の著者が監督の映画『島守の塔』を観ることができた
沖縄のみ上映延長しているけど他の都道府県は終わっている
復帰５０周年の節目で歴史の振り返り
２時間程度では撮りつくせない内容
https://shimamori.com/
軍人や住民を主人公にした映画はいくつかあるが、行政側の視点は初めてかもしれない
最初ウチカビを燃やして平敷屋のエイサーの舞いで旧盆うーくいのシーンから
お笑いポーポーのメンバーが出て懐かしかった
カチャーシーは喜びも哀しみもかきまぜてみんなで共有すること、俳優の皆さん上手下手がわかるね　私もなかなかうまく踊れないな
鉄血勤皇隊の男子が「戦争が終わったら学校に戻れますか。勉強がしたいです」の言葉にずしんときた
戦時中の島田知事は県民の為に台湾米の配給手配したり、琉球芝居の禁止を解いたりと県民に寄りそう対応をしていたらしい
最後のシーンは唐船ドーイ　
故郷を離れていい年になったからか民謡は泣ける
琉球民謡に慣れ親しんでいない他県の方達には唐突な画面の変わりかたとも思われる

[☆ベルガモット☆さん · 2022/11/08]

kuma0504さん、コメントありがとうございます！

いろんな視点で感情的にならず沖縄戦を考察することにつながりそうです．先日、平和記念公園にある島守の塔へ参拝しました．
ふるさとのいやはてみんと摩文仁山の厳にたちし島守のかみ（仲宗根政喜・ひめゆりの塔手記著者）という歌碑がありました．
叔父10歳時に対馬丸疎開組だったので、そのシーンは感情が揺さぶれました．父も母も対馬丸に偶然にも乗らずにすみ今の私がいます．
島田知事は沖縄の高校野球の普及にも貢献されたそうで、高校野球少年だった父が映画を観たかったと何度も言ってました．（療養中でコロナ禍でなければ）

kuma0504さんの方が沖縄に関することをご存じのようですね．
本棚参考にしております．

[kuma0504さん · 2022/11/09]

ベルガモットさん、おはようございます。
叔父さんは生還できたのでしょうか。
対馬丸事件があんな形で実写化されて、えっ？コレ対馬丸じゃないよね、と思ったらそうで、もう悲劇が加速度的に進んでゆくなかなかの映画だったと思います。四年前、対馬丸記念館にも行きました。生徒がたくさん来ていました。平和教育大切ですよね。

[☆ベルガモット☆さん · 2022/11/09]

kuma0504さん　こんばんは！
対馬丸記念館にも訪問なさったんですね、ありがとうございます．
生徒さん、多かったんですか．確かに若い世代にも見やすい展示と思います．叔父の遺影が飾ってあり、探し当てたときは号泣でした．兄弟でどうするか賛否両論だったようですが、生きた証ということで提供したとのことです．遺骨はないので私達としてはお墓参りのような心持ちで訪れることができます．
映画ではひめゆり学徒隊や第32軍の動きなど目まぐるしく状況が変わり、予備知識があるほうが良さそうでした．
平和教育は本当に大切ですね．

[モラリスさんの感想 · 2022年8月20日]

沖縄タイムス2022813掲載　評者:棚橋咲月(沖縄タイムス記者)
毎日新聞2022823掲載　

著者プロフィール

1958年北九州市生まれ。小倉南高校を経て立教大学文学部日本文学科卒。ノンフィクションライターとして、「女性自身」の人物ドキュメント「シリーズ人間」をはじめ、さまざまな社会現象・事件のなかに息づく人間存在にスポットを当てて取材を続けている。著書に『阿部定正伝』『草原の人　美空ひばりからの手紙」など。

「2022年 『「戦争がもたらすものを撮る」』 で使われていた紹介文から引用しています。」