2020年代のまちづくり: 震災復興から地方創生へ、オリンピックからアフターコロナへ

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784911149003

作品紹介・あらすじ

本書は2010年代以降のこの国のまちづくりや国土運営についての議論を総括して、2020年代のまちづくりをどうするかを考える論集です。まちづくりに関わるさまざまなプレイヤーや研究者が集結し、建築や都市開発から小商い、アートまで、多角的にこれからの都市や公共性について議論します。
宇野常寛×齋藤精一×重松眞理子×馬場正尊×古田秘馬|震災復興から地方創生へ、オリンピックからコロナへ──「まちづくり」のこれまでとこれから
西田司 |街にはもっと「小さな公共空間」が必要だ──「ひらく建築」や「小商い建築」から考える「クリエイティブなパブリック」の可能性
門脇耕三|「大都市・都心の再開発/地方都市・郊外のリノベーション」を超えるには?「渋谷のハロウィン」から考える、2020年代のまちづくり
白井宏昌|「環状」から「セル(細胞)状」へ。都市構造の変遷史から考える、「TOKYO2020」以降の東京改造の可能性
藤村龍至|都市と国土はいかにして開発されてきたか?ニューヨークとイタリア、そして80年代から考える、2010年代以降の都市開発
田中浩也|ポスト・スマートシティのビジョンを考える──街には「広義のデジタルファブリケーション」が必要だ
井上岳一×宮﨑雅人×柳瀬博一|「地方創生」のその次へ──2010年代以降の「地方のまちづくり」を総括し、2020年代への展望を描く
川田十夢×山縣良和|「そこにある植木鉢」のように、風景から東京を変革するための方法
岸本千佳×本瀬あゆみ|建築と不動産をかけ合わせたアプローチが「地方のまちづくり」を後押しする
加藤優一×平松佑介|銭湯から考える、「適度にひらき、閉じる」公共性のあり方
坂本崇博×若松悠夏|これからの街に必要な「働く」環境とは?オフィスからコワーキングスペース(そして自宅の作業部屋)まで
宇野常寛|アフターコロナの都市と地方に必要なこととは何か
長谷川貴之×ブランスクム文葉×牧亮平|「次世代のスター」を生み出すためのまちづくり──東京の中心部・有楽町から考える
岩田竜馬|会社の「外」を知った僕は『マトリックス』の「赤い薬」を飲んでしまったのかもしれない
綿石早希|知らない人同士がフラットにつながる。自然な化学反応が引き起こされる空間設計
脇奈津子|目的なき出会いこそが、成果につながるセレンディピティを生み出す
青井茂×中森葉月×深井厚志×吉川稔|なぜビジネス街にアーティストが集うのか?
有楽町における「アートアーバニズム」の現在地
井上成×鈴木規文×山本桂司|なぜ渋谷・六本木でも地方でもなく「大丸有」なのか?日本の中心から、街と働き方を変えるためのプロジェクト「Micro STARs Dev. 」の挑戦

感想・レビュー・書評

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  • ハッと気づかされる部分がたくさんありました。
    そしてまた、普段から感じていたことが言葉にされていて、そうなんだよな、という感じを強くもちました。

    ・環状ではなくセル(細胞)型をまちの単位として構想する。そのときセルの中心となるのは……駅? いや小学校?
    ・市町村単位の限界。地方創生の幻想。交通や鉄道会社間競争によるまちの分断。
    ・東京とそれ以外との分断が進行しているのではないか。
    といった問題が提起され、一定の解決策も示されています。

    では、ここで述べられていることをどのように現実のものにしていけばいいのか。本の中だけでとどめずに、まちづくりにどう展開していくべきかのか。

    そこには、どうしても根本的な問題があるような気がしています。
    ハード先行で建築が行われ、テナントはあとから募集するというスタイル。まちにとってコンテンツが重要だとしたら、なぜハコが先に建築できてしまうのか?
    高容積率が収益を生み出すという構造。床が多ければそれだけ分譲あるいは賃貸による利益を創出するのは当然ですが、それによる周辺環境への悪影響は明らかなはずです。

    このような根本的な問題を破壊しなければ、次の10年も同じ間違いを続けることになるような気がしています。
    しかしさらに絶望的なのは、こういう問題に対するカウンターは、絶対にその業界からは生まれてこないということです。なぜなら、彼らの利益の源泉そのものを棄損することになってしまうから。本書に協力している不動産デベロッパーが、このことをどう考えているのかも、聞きたいような気がしました。

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著者プロフィール

日本総合研究所 創発戦略センター シニアスペシャリスト1994年、東京大学農学部卒業。農林水産省林野庁、Cassina IXCを経て、2003年に日本総合研究所に入社。Yale大学修士(経済学)。南相馬市復興アドバイザー。森のように多様で持続可能な社会システムのデザインを目指し、インキュベーション活動に従事。現在の注力テーマは、地域を持続可能にする「ローカルMaaS」のエコシステム構築。著書に『日本列島回復論』(新潮選書)、共著書に『AI自治体』(学陽書房)、『公共IoT』(日刊工業新聞社)などがある

「2020年 『Beyond MaaS』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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