- Amazon.co.jp ・本 (126ページ)
- / ISBN・EAN: 9784915841514
感想・レビュー・書評
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ポーランドの詩人、ヴィスワヴァ・シンボルスカ。
1996年のノーベル文学賞受賞。
今、まさに読むべき。 -
4.26/350
『個を超えた〈普遍〉には与せず、誰にでも分かる平明さで、静かに個として個に語りかける詩人。好きといっても/人はお世辞や水色も好きだし/――清々しい簡潔さで、日常の平凡な世界に価値を見出す最新詩集。ノーベル文学賞記念講演を併録。』(「未知谷」サイトより)
目次
空/題はなくてもいい/詩の好きな人もいる/終わりと始まり/憎しみ/現実が要求する/現実/決算のエレジー/空っぽなアパートの猫/眺めとの別れ/手品ショー/一目惚れ/一九七三年五月一六日/ひょっとしたらこれはすべて/どたばた喜劇/もらい物は何もない/様々な出来事の一つの解釈/なんという幸せ/ノーベル文学賞記念講演/解説 普遍のユートピアに抗して
原書名:『Koniec i początek 』
著者:ヴィスワヴァ・シンボルスカ (Wisława Szymborska)
訳者:沼野 充義
出版社 : 未知谷
単行本 : 126ページ -
ノーベル賞授賞のポーランド詩人。1993年。
これは素晴らしい出会いでした。平明で美しい言葉を前にして、その新しい世界の見方に眼を瞪り、胸が高鳴り、溜め息をつき、いつか来るかもしれないその日を思って涙する。
『熱源』を読んでいて、私たちの隣国のロシアと関わりの深い東欧世界の文学に触れてみたくなり、『世界は文学でできている』で紹介されていて気になっていた本作を手に取ってみました。
解説より
『大きな数』
この地上には四○億の人々
でもわたしの想像力はいままでと同じ
大きな数がうまく扱えない
あいかわらず個々のものに感激する
ずきゅん。これはずきゅん。
全体主義的な普遍性と戦い、個々の人間の個人性を重視するこの志向は、日本の読者にも、特にコロナ禍のいま、響くような気がする。
シンボルスカ氏の詩も沼野氏の解説の文章も、好きです。 -
久しぶりに詩集を読んだ
もともと日本語向けに書かれたものではないからなのか
久しぶりに詩を読んだからなのか
詩を解釈することって難しいと改めて思った
でもなんとなく雰囲気はわかる
それでいいのかもしれない
昔は詩が大好きだったのに
いつのまにか
理解すること わかりやすいこと
を大切にしすぎてしまってきた
と体感した
感じるだけでいいのかもしれない
本編ではない最後に記されていた詩の方が
今のわたしにはスッと入ってきた
平凡な奇跡は
平凡な奇跡がたくさん起こること
ただ見回せばそこにある奇跡は
世界がどこにでもあるということ
なにごとも二度とは起こらない
けっして
だからこそ
人は生まれることにも上達せず
死ぬ経験を積むこともできない -
ポーランド作家さんの詩集
静かで易しい言葉の連なりが心地よく でも 深く凛として
自然と毎日開いては 読み咀嚼
その意図を じわじわと感じていたい