- Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
- / ISBN・EAN: 9784931524033
感想・レビュー・書評
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『頼山陽』を読んでから、その母・梅颸にとても興味をもちすぐに借りてきたのです。
が、小説ではなく彼女の日記『梅颸日記』の評伝であったため、読み終えるのに少々時間がかかってしまいました。
夫である春水は江戸勤めが長く、その間の家でおきたことを知るため、春水に言われて日記を書き出した梅颸。
それは26歳から春水が没後も書き続けられ、84歳で梅颸が没するまで書き残されているそうです。
感想が書きにくいので思いついたまま簡単に。
とにかく思ったのは、この母にしてこの子あり。とても似た親子であったようです。
大阪の儒医者の娘に産まれた梅颸は、嫁ぎ先の武家の家風になじめず苦労したが、山陽も父・春水と家という制度に反発した。
梅颸の父は娘たちに教育を施し、ほめて伸ばしたため、梅颸も山陽をとにかくほめて伸ばした点。
これも山陽がほめ上手であったというところに受け継がれています。
これを読んで、とにかく子供をまるごと認めて受け入れるということが大事であるとしみじみ思いました。
老齢になるまで実子・山陽と三穂のほか、養子・景譲、孫・聿庵、景譲の子・達堂、孫・支峰やひ孫・誠軒の世話や養育までした梅颸。
そのうえで儒教の家祭の運営を行い、機織りや針仕事もこなし、和歌を詠み、酒や煙草も嗜み、歌舞伎・能・芝居見物も楽しんだという。
人生の先達として、理想としたい女性でした。
ちなみにタイトルの「すっぽらぽんのぽん」は梅颸の結婚に際し、儒官の妻としての心得を書いて父の義斎が贈った『夜鶴草』に出てくる言葉。
「よの中に道より外ハ何事もすっぽらぽんのぽんにしておけ」
守るべき道は守り、それ以外はくよくよ思い悩んだりせず、弾みをつけてのりきっていきなさい。
ぐらいの意味らしいです。いいなぁ、こんなお父さん。詳細をみるコメント0件をすべて表示