沖縄人はどこから来たか: 琉球=沖縄人の起源と成立

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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784938923815

作品紹介・あらすじ

考古学と形質人類学の専門家が、現日本人やアイヌとの関係、港川人との関係を探る。

感想・レビュー・書評

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  • 文化ということを考えるとき、
    日本人はどこからきたか?
    沖縄人はどこからきたのか?
    などの興味は尽きない。
    いまさまざまな研究方法によって、
    そのナゾが少しづつ解き明かされてきている。

    考古学的手法によって、
    安里氏は、沖縄人はどこからきたのかを
    読み解こうとしている。
    安里氏は、ぐすく時代の研究に詳しい。

    ぐすく時代には人口が爆発的に増加するが、
    生産力の発展にともなう集落の増大と
    共同体の再編成が行われた。

    植原氏による日本人の起源についての「2重構造論」
    が、さまざまな角度から、検討されはじめている。

    そういう意味で、沖縄人の起源はどこにあるのか
    を調べることは、意味がある。

    沖縄人がどこからきたかを読み解くときに、
    港川人の存在は大きい。
    1968年那覇市の大山盛保氏によって
    具志頭村港川で発見された。

    ほぼ完全な骨格一体を含む5体分、
    多くて9体分の人骨が発見され、
    約1.8万年前の人骨とされている。
    港川人の推定身長は、155cm。

    そのルーツは、中国南部であるとされる。
    華南の4万年前の柳江人と近縁で、
    縄文人の祖形的特徴を持っている。
    この時代は、旧石器時代にあたる。
    しかし、港川人と一緒に、旧石器が発見されていない。
    港川人の道具と考えられていた叉状骨器は、
    人工品であるかどうかが問われている。
    鹿が、リン酸欠乏で、
    かじったのではないかといわれている。

    琉球列島は、3万年前頃と
    1.8万年頃の2度にわたる陸橋化があった。
    港川人とイノシシは、1.8万年前に渡来した。

    ○しかし、本当に南方系旧石器時代の人間であるか
    どうかは、確定できていない。

    縄文時代 13000年前から2300年前
    土器が誕生する。このことをもって、縄文時代とする。
    弥生時代 2300年前から300年
    古墳時代 300年から600年

    沖縄は、旧石器時代から 
    貝塚時代へと発展する。
    沖縄で土器が発見されたのは、6000年前とされている。

    10世紀に 原ぐすく時代
    13世紀  城時代
    1421年 第一尚氏時代
    1470年 第二尚氏時代

    ○シーボルトは、
    アイヌはもともと日本の先住民であり、
    そのあと日本人が入ってきた。
    アイヌは琉球人と同系統の人種であるという見解をもっていた。

    ○明治初期 東京医学校 ベルツ教授 
    日本人は混合人種だとして、
    日本人には長州タイプと薩摩タイプの2タイプがある。

    ○東京帝国大学 モース教授
    日本の石器時代人をアイヌ以前のプレアイヌだと考え、
    石器時代人→アイヌ→日本人という人種交替を提起した。

    モースの説は、帝国大学理科大学教授の坪井五郎
    によってコロポックル説へと発展させられる。

    東京大学医学部教授小金井良精によって、論争が起こる。

    ○言語学的に、琉球語は日本語の系統であり、
    日本祖語からわかれてきたものだという認識。

    ○1954年九州大学金関丈夫氏が、
    インドネシア系の文化が、琉球列島を北上して
    日本の縄文文化に到達して大きな影響を与えた。

    ○6~7世紀に日本民族南下とともに、
    琉球語が成立し、そして稲作や鉄器文化や
    須恵器も流入したとする考え方が生まれた。

    ○起源論は、「置換説(交代説)、
    混血説(渡来説、渡来混血説)、
    変形説(小進化説、連続説、移行説)

    金関丈夫 渡来混血説
    鈴木尚  変形説(連続説)

    ○弥生文化というのは、朝鮮ないし中国から
    新しい水稲農耕文化を持った人間集団が、
    北部九州に渡来してきた。

    ○2重構造論
    日本人には2層性がある。
    最初の日本人は東南アジア起源で南方系である。
    そして、最初の原日本人である縄文系の人たちと、
    あとから渡来してきた北方系の人たちの混血で成り立っている。

  • 本書のテーマは琉球諸島における考古学と形質人類学の成果である。まず注意しなくてはいけないのが、2011年初版となっているが本書の内容は1999年に出版された対談であること。本書の最後には、2011年から見た新しい知見についても簡潔にまとめられている。本書を読むにあたっては沖縄史をある程度、知っていることが前提とされるが、港川人を始めとした、沖縄における人類史研究の歴史が分かって面白い。

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著者プロフィール

1947年生まれ。沖縄県立芸術大学名誉教授。
専門は考古学・琉球史。
おもな著書・論文に、「絵図と厨子からみた首里・那覇の人口増大と都市化をめぐる問題点」(『沖縄文化─沖縄文化協会創設七〇周年記念誌─』、沖縄文化協会、2020年)、「首里那覇鳥瞰図の年代設定と描かれた景観の虚実」(平井松午編『近世城下絵図の景観分析・GIS分析』(古今書院、2019年)、『近世測量絵図のGIS分析』共編著、古今書院2014年)などがある。

「2022年 『古地図で楽しむ首里・那覇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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