乙女の祈り [DVD]

監督 : ピーター・ジャクソン 
出演 : メラニー・リンスキー  ケイト・ウィンスレット  サラ・バース  ダイアナ・ケント  クライブ・メリソン 
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  • / ISBN・EAN: 4988105025653

感想・レビュー・書評

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  • 1952年、ニュージーランド、クライストチャーチ。女子高に通うポウリーン(メラニー・リンスキー)は、イギリスからの美しい転校生ジュリエット(ケイト・ウィンスレット)と熱烈な友情を育む。
    ポウリーンは下宿屋を営む低所得の家庭に育ち、ジュリエットは名門大学の学長の娘と、まるで環境の異なる2人だが、マリオ・ランザのオペラ、ヒロイックな冒険物語、ハリウッドの美形スターなど、好みや感性は驚くほど似通っていた。
    疎ましい現実を忘れさせてくれるものに崇拝の念を抱く彼女たちの豊かな想像力は、やがて「ボロウィニア王国」という聖なるものたちの物語を生み出した。
    作家を夢見る2人は、ジュリエットが肺結核で入院生活を送る間も、文通を通じて何世代にも渡る物語を膨らませていった。
    その間、下宿人の1人にポウリーンは処女を捧げる。
    彼女たちの意識はますます自身を離れ、この傾向はジュリエットの退院後にいよいよ強まり、2人はフィクションの世界にのめりこんでいく。
    娘たちの親密な関係に異常性を感じ取ったジュリエットの父(クライヴ・メリソン)は、ポウリーンの母(サラ・パース)にカウンセリングを受けさせる。
    同性愛の診断を下されたポウリーンは、ジュリエットとの交際を禁じる母に激しい憎悪を燃やす。
    やがてジュリエットが、両親の離婚に伴って南アフリカに行くことが決定。
    母親さえいなければ、ジュリエットと南アフリカに行けると思い詰めたポウリーンは、愛するジュリエットが用意したレンガで母親を撲殺。2人は裁判の結果有罪となった。
    後年2人はどちらも釈放されたが、事件後は一度も会っていないという。
    1954年ニュージーランドのクライストチャーチで起こった「パーカー&ヒューム事件」を元に、ピーター・ジャクソンが映画化。
    病気がちでファンタジー小説好きという共通点からポーリーンとジュリエットは仲良くなり、学校でも家庭でも居場所が無かった二人は、架空の世界の中でファンタジーの妄想に浸り、現実と妄想の境目が解らなくなり、両親の離婚などの現実の辛いことから逃れるように大人や男を排除した夢の世界にますます耽溺して母殺しに手を染めるまでを、カラフルなドレスを身に纏い森の中でファンタジーごっこに耽るポーリーンとジュリエットの姿を、粘土の人形が生き生きとしているファンタジーの世界と現実の二人を違和感なく合成したカラフルなダークファンタジー風に表現するピーター・ジャクソンお得意の描写、大人への軽蔑と若さ故の万能感に満ちたポーリーンとジュリエットのいびつさもしっかり描かれていて、なかなか苦い後味のダークファンタジー映画。

  • 「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのピーター・ジャクソン監督。
    という情報だけで観たが、なんだかものすごい話だった。しかもどうやら、実話に基づいているようだ。

    主人公はポーリーン(メラニー・リンスキー)とジュリエット(ケイト・ウィンスレット)という10代なかばの少女たち。
    あるときジュリエットが転校生としてやってくるのだが、2人はやがて親密になり、閉ざされた世界を共有するようになり、それがこうじて事件に発展する。

    思春期の、現実と空想がないまぜになった世界がうまく描かれていてゾッとさせられる。

    いちばん気味が悪かったのが、2人が粘土で作っている王国のようなものが等身大に具現化し、そのファンタジー世界の中で2人が愉しそうにしている場面。

    あるいは、なぜかオーソン・ウェルズを醜男と呼び、そのオーソン・ウェルズが2人を追いかけてくるなか、悲鳴をあげながら(ほとんど楽しげに)逃げる場面もすごく気持ち悪かった。

    とにかくこんなシーンの連続で、そんじょそこらのホラー映画よりもよほど怖かった。無意識を引っかき回されているみたいで。

  • 1994年公開の
    ニュージーランド、
    アメリカ合作映画。

    94年ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞受賞。



    妄想を共有するほど
    心を通じ合わせた
    多感な14歳の少女二人が、
    殺人の凶行に駆り立てられていく心理を
    丹念に追った異色ドラマ。



    ニュージーランドにある女子中学校。
    内気な少女ポウリーンと
    イギリスからの転校生ジュリエットは親友になり、
    やがて空想世界の中で
    二人だけの世界を作り上げる。
    しかしその絆があまりにも強いため
    周囲の大人は彼女たちを同性愛とみなし、
    二人を引き離そうとする。
    そんな二人が一緒にいるために考えた残酷な計画とは…。



    50年代のニュージーランドで
    現ベストセラー作家の
    アン・ペリーにより
    実際に起きた実話を元に、
    幻想的な映像を見せてくれるのは
    後に『ロード・オブ・ザ・リング』で名を馳せる監督、
    ピーター・ジャクソン。



    いやぁ〜
    トラウマになるほどの
    ショッキングなオープニング及び
    ラストシーンと共に
    とにかく衝撃を受けた作品です。



    濃密で閉鎖的な世界観。


    それは誰も踏み込めない
    彼女たちだけの絶対領域。


    大人への強烈な嫌悪感。


    何度も観直すには
    あまりにもツラい作品だけど、
    映画としては本当に良くできています。




    特筆すべきはその映像美。


    少女たちの妄想の世界を
    見事に映像化した
    幻想的で美しい映像の素晴らしさ!



    ただ二人、
    一緒にいたいという想い。


    しかしそれが叶わぬと知ったとき、
    深い絶望が
    大人への殺意へと変わる…。



    純粋であるがゆえに
    残酷な行為に及ぶ
    少女たちの心理が
    なんとも切ないです(>_<)



    ジュリエット(実在のアン・ペリー)に扮し、
    これがデビュー作となる
    『タイタニック』の
    ケイト・ウィンスレットの
    思春期の少女の
    危うさを秘めた演技が絶品。



    有名ではない作品だけど
    激しく胸を打つ
    衝撃的な傑作。

  • これがケイト・ウィンスレットの銀幕デビュー作品だと後から知り、戦慄しました。上手い。圧倒的に上手かったです。

    ストーリーは実話に基づいて書かれていて、ドキュメンタリーの側面を持った映画。ニュージーランドに住む思春期の女の子が、イギリスからの転校生の女の子と意気投合し、思春期らしい「私にはあなたしかいないの!」「私たちは他の誰とも違うの!」といった選民思考めいた結束を高める中、彼女たちの仲の良さを「心配」する大人たちが描かれます。そして物語の後半、大人たちの都合に振り回される理不尽を嘆いた少女たちは、子どもらしい短絡さと、少女らしい潔癖さ、そして未成年らしい残酷さと楽観的思考でもって、恐ろしいことに手を染めます。

    冒頭から不穏で、観る側としては、これから何がどうなっていくのかが分かっているが故に、非常に不安を煽られます。

    とにかくメイン二人の演技が素晴らしい。もう私は子供ではないのだという気の強さと、親に突き放されると不安になってしまう、その両極端な感情が、自分でもコントロールできない激しさで心に居座っている様子が、本当に上手で。ケイト・ウィンスレットの病院での涙は、ああ、人間は本当に辛いとき、美しく涙を流せないのだ、と思い出させてくれるようなものでした。

    ポーリーン役おメラニー・リンスキーも、圧巻でした。小言の多い、ジュリエットの母親のように煌びやかでない、家庭の匂いのぷんぷんする、学もない母親に対する憎悪の瞳が、カメラを通してですら、こちらがぞっとするほど侮蔑に満ちていて。でも、その母親がポーリーンに望んでいることは、ただひたすらに我が子の幸せであり、小言の大半はしつけの範囲内なので、もう大人になってしまった私としては、母親の気持ちもよくわかる。だからこそ、そんな母の気持ちがこれっぽっちも伝わっていないことに深い悲しみを覚えました。

    良い映画です。でも、二回観たいかと問われれば否かもしれません。

  • 少女映画と呼ばれるものの中で一番好きな映画。妄想の世界が美しい映像で表現されている。

  • 後味が死ぬほど悪い。でも、観て良かったなとは思います。今の時代、この映画はかなりリアルでみたらすごくシリアスな印象を受けると思います。でも、誰にでもこんなことって起こりえるから恐い。

  • あまりの中二&オタク趣味について行けなくなりかけたが、少年時代というのはこんなもんだなぁ、という意味では良く出来ていた。

    てか、ほんとに実話で主人公の一人はほんとに小説家になってたんだね。

  • HEAVENLY CREATURES
    1994年 ニュージーランド+アメリカ
    監督:ピーター・ジャクソン
    出演:メラニー・リンスキー/ケイト・ウィンスレット

    女子校で出会った二人の少女ポーリーンとジュリエット。空想力豊かな二人は意気投合、妄想の世界に浸る二人の不健康な友情に危機感を抱いた双方の両親は、二人を引き離そうとする。思いつめた二人はポーリーンの母親の殺害を計画、実行に移す・・・という筋書きが実話だというから恐ろしい。しかも未成年ゆえ出所後ジュリエット(アン・ペリー)のほうは作家になって成功している。

    まあそのへんの現実は別問題として、この映画のみどころはなんといっても少女たちの妄想世界のビジュアル化。ロードオブザリング以前はスプラッタ系ホラーで有名だったピーター・ジャクソンの本領発揮で、少女とグロテスクという異色の組み合わせを幻想的に描いてあってとても好きでした。

    原題「HEAVENLY CREATURES」がいいですね。少女たちの妄想力こそが化け物のようだった。

    (1996/1/22)シネマセレサ

  • 制作年:1994年
    監 督:ピーター・ジャクソン
    主 演:メラニー・リンスキー、ケイト・ウィンスレット、サラ・パース、ダイアナ・ケント
    時 間:109分
    音 声:英:ドルビーステレオ


    52年、ニュージーランド、クライストチャーチ。
    女子高に通うポウリーンは、イギリスからの美しい転校生ジュリエットと熱烈な友情を育む。
    ポウリーンは下宿屋を営む低所得の家庭に育ち、ジュリエットは名門大学の学長の娘と、まるで環境の異なる2人だが、マリオ・ランザのオペラ、ヒロイックな冒険物語、ハリウッドの美形スターなど、好みや感性は驚くほど似通っていた。
    疎ましい現実を忘れさせてくれるものに崇拝の念を抱く彼女たちの豊かな想像力は、やがて「ボロウィニア王国」という聖なるものたちの物語を生み出した。
    作家を夢見る2人は、ジュリエットが肺結核で入院生活を送る間も、文通を通じて何世代にも渡る物語を膨らませていった。
    その間、下宿人の1人にポウリーンは処女を捧げる。
    彼女たちの意識はますます自身を離れ、この傾向はジュリエットの退院後にいよいよ強まり、2人はフィクションの世界にのめりこんでいく。
    娘たちの親密な関係に異常性を感じ取ったジュリエットの父は、ポウリーンの母にカウンセリングを受けさせる。
    同性愛の診断を下されたポウリーンは、ジュリエットとの交際を禁じる母に激しい憎悪を燃やす。
    やがてジュリエットが両親の離婚に伴って南アフリカに行くことが決定。
    母親さえいなければ、ジュリエットと南アフリカに行けると思い詰めたポウリーンは、愛するジュリエットが用意したレンガで母親を撲殺。
    2人は裁判の結果有罪となった。後年2人はどちらも釈放されたが、事件後は一度も会っていないという。

  • 「小さな悪の華」を見たついでにこちらも鑑賞。
    映画としては「小さな…」のほうが見やすいのかもしれないけど、こちらのほうが少女たちに迫力がある気がする。
    多感な思春期の少女たちの、あの狂気じみたけたたましいエネルギーとか、すごく生々しかった。

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