月曜日のユカ [DVD]

監督 : 中平康 
出演 : 加賀まりこ  中尾彬  加藤武  北林谷栄  山本陽子 
  • 日活
3.64
  • (48)
  • (37)
  • (89)
  • (7)
  • (4)
本棚登録 : 373
感想 : 81
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988103600470

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  60年代のファッションは今見ても違和感なくクールなのだ。たぶん、そんなことはだいぶ昔から渋谷系カルチャーの好きなオタクたちには言われていたと思われる。そんな映画を再び観てみた。今回、DVDを見てモノクロームのスチールがたくさん収められてあることに気がついた。なんだよ、そうだったんだ??とそのスチールを見直すとオシャレな写真で埋まっている。もっと早く気がつけばよかった。
     前回見た時にはユカが愛人パパを意図的に海に突き落としたのかと思っていたが、これは偶然で溺れるパパをしゃがんで頬づえついて眺めるユカの冷淡な一面を演出したのだなと今回は思うのであった。
     『私の人生の目的は男を喜ばせることにあるので……。』という可愛いユカだが、実は違うんだなということで、次回に観るときは新しい発見がありそうなそんな映画なのである。

  • 中平康監督の『月曜日のユカ』。暗くて淫靡な、エロい映画かと思ったら全然真逆で、ライトなコメディ映画でした。途中までは。
    若い頃の加賀まりこが可愛い、おしゃれ映画として有名で、そのことばかりが語られがちだけどそうではなく、しっかりと深い映画だと私は思います。

    中平康は「モダン派」と称されてたそうで、そのくくりだと
    市川崑(1915年生まれ)
    鈴木清順(1923年)
    岡本喜八(1924年)
    増村保造(1924年)
    中平康(1926年)。
    私はこれに石井輝男(1924年)を加えたい。あと今村昌平(1926年)も同世代。
    大体みんな1925年前後生まれ。崑さんだけ10歳ほど年長。ちなみに黒澤明は1910年生まれ。

    崑さん喜八っちゃん中平康と共通しているのは、カットのテンポの良さ、速さ。『月曜日のユカ』は編集や映像テクニックが素晴らしい。
    二本立て90分の映画だと、ストーリーテリングの上でテンポの良さは非常に大事だと思う。80分の映画でもテンポが悪い映画はとても退屈。
    中平さんは編集と映像テクニックばかりでテーマや社会性がない、と評論家に嫌われ対立してたそうだけど……バッカじゃねえの?と思う。そんなものなくたって芸術はいくらでも成立するし、映画はそもそも娯楽なのに。
    たぶん、当時の「テーマや社会性」というのは思想なのではと思う。私は市川崑の作品について「空っぽ」で和田夏十が補ってると感じるけど、中平さんも近いと思う。
    だからこのふたりは、のちに渋谷系の人たちにおしゃれ映画として再評価されたのでは、と。

    『月曜日のユカ』は今見ても本当に洗練されていて、1964年……丁度前回の東京オリンピックの年、55年前の映画とは思えない。
    中平さんは『狂った果実』('56)でヌーヴェルヴァーグに影響を与えたそうだけど、ゴダールの『勝手にしやがれ』('60)を挟んで、4年後のこの映画ではジャンプカットもバンバン使う。
    だからフランス映画に影響された日本の監督というよりも、フランス人監督そのものが撮った作品のよう。しかも舞台は横浜だから、「女は港」的な内容で多国籍。

    ないと言われてた「テーマや社会性」だけど、この作品に関してははっきりと「ある」。
    それは愛について。恋と、愛について。恋愛について。

    書き出すとちょっと複雑になりますが…
    ユカは愛が何かを理解していない。象徴として出てくるのはそのまま、「お人形さん」で、はっきりとそのような演出もされている。(『キャロル』と同様。)

    ここでの愛とはつまり、「自分の意思」。ユカは仕事に対するプロ意識が高く、男を肉体で喜ばせることはできるけど、愛してはいないので、愛を与えることはできない。

    一般的な価値観だと、キス=恋する相手と、セックス=愛する相手とするものだけど、ユカはこの価値観が逆転している。
    その原因は過去のトラウマによる勘違い。キスがセックスに、セックスがキスに置き換わっている。だから、好きでもない相手にキスされることは、ユカにとってはレイプ。

    だけど、果たしてその「一般的な、普通とされる価値観」が、本当に普通で正しいことなのか?私はそうは思わない。

    実は恋の本質の方がセックスで、愛はキスなのではと以前から思っていて、ユカの価値観は間違っていない。(援助交際や売春する若い子が、キスはダメというよく聞く話の源流はこの映画からなのかなとさえ思う笑)

    もうひとつは、金での関係。パパ(加藤武)から金を受け取り、お母ちゃん(北林谷栄)に金を渡す。

    この映画は、ユカが愛を見つけ出す青春映画。女の子が誰かのお人形さんではなくなり、自立する映画。その結末は悲しく不穏だけれど、非常にクールだ。


    この映画の表面的な表現は軽く、モダンで楽しいけれど、実は低音部には本当に深くて重いテーマが流れている。

    若干似ていて思いつくのは、川島雄三とその弟子今村昌平の重喜劇。中平康も川島雄三の弟子で、『月曜日のユカ』と同時上映は今村昌平の作品だった。

    女性に人気が高い映画だし、女性に観て欲しい映画でした。そして観たあとに考えて欲しい映画。私は本当に考えさせられました。

  • 加賀まりこが可愛い。コケティッシュ。

  • ちょっとおつむが足りない小悪魔ちゃん。あばずれだけどピュア。情に厚いのに薄情。男を喜ばせるのが好きと言いつつ誰も幸せにできない。加賀様の魅力全開です。
    ちょっとフランス映画のようだけどお洒落さが嫌みじゃなく、ラストの冷酷さはドキッと(怖くてじゃなく、魅力的に見えて)します。

  • 無邪気な性格で複数の男と関係を持つユカ。
    18歳の彼女は容姿端麗で、少女特有の透明感を放っている。
    加賀まりこが日本のBBと呼ばれるのも納得。物語の冒頭から特別な存在感を見せていることがよく分かる。まるで人形のような整った顔立ち、エレガントでありながら、しかし無邪気な少女であるキャラクターがとても魅力的だ。
    ユカを取り巻く男性陣の思惑が、ユカを救いそして傷つける。
    青春ってやっぱりこういうもの。
    似た題材を取り扱う映画は山ほどあれど、人へ届く作品はそう出てくるものではない。

  • とにかくみんな若い!当たり前だけど(;´∀`)加賀まりこがほんとに可愛くてびっくり(・o・)今でも十分通用する綺麗さだわ。中尾彬もネジネジ前で誰かと思った。戦後すぐっぽい横浜、えらい異国情緒溢れてるな。そしてはっきりわかる敗戦国の悲しさ。貧乏が普通で、とにかく食えればいい。その状態だと人も獣もそう変わらないね。母親に売春の手ほどきされてるのも、誰とでも平気で寝るのも、そういう環境で生きて行くしかないなら仕方ないのか。パパに人形ねだるのが、可愛くて可哀想。あのままオサムと一緒になったら幸せになれた気がするのになあ。

  • 加賀まりこがコケテッシュでとにかく可愛い。
    ちょっとフランス映画っぽいんだけど、加賀まりこだから成り立ってる感がある。
    なかなか個性的な手法もちりばめられている。
    これが「勝手にしやがれ」より前に製作されているんだけど、タッチがヌーベルバーグっぽい。彼らとセンスがにてるのかも。

  • 加賀まりこさんが美しい。

  • モノクロの日本映画なのに、全く古さを感じさせない。モノクロで映し出される日本の街並みはまるでパリみたく見えてくる。加賀まりこが昔のフランスの女優みたいな服装だからかなあ。加賀まりこ、日本人離れした顔立ちでとってもきれい。やっぱり女の子は唇がぽってりしてたほうが可愛い。加賀まりこ演じるユカのボーイフレンドがとっても良い人で、「俺、お前の母ちゃん大事にするよ」というセリフが素敵だった。こんなこと言われてみたい。ところどころ演出がコミカルで、そういう演出も観ていて面白かった。

  • 小悪魔かわいい加賀まりこがとにかくよい
    ネジネジも精悍でよい
    笑いながら泣く
    刹那的で不安定な小悪魔

全81件中 1 - 10件を表示

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×