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- / ISBN・EAN: 4510840301053
感想・レビュー・書評
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「ターミナル」と似た設定ですが、制作されたのはこちらのほうが先。モントリオール空港でパスポートや財布を盗まれた主人公が、妻の住むパリに到着します。しかし、フランスとカナダの二重国籍で居住地はイタリア、妻がスペイン人とあって、本人である確認がなかなかとれずに、シャルルドゴール空港で足止めされてしまいます。ところが空港内で足止めされているのは彼だけではありませんでした。父親が迎えにくるのを待っているアフリカ人の少年、国外追放になり国籍を剥奪された女性、誰にもわからない言葉を話す機械いじりが好きなアフリカ系男性…。どこでもない場所である空港を舞台に、せつなくも、心温まる交流が描かれます。
シャルルドゴール空港で実際に撮影されたというこの映画、パリに行ったことがある人なら、見たことのある場所が登場しているかもしれません。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
直行便に乗り遅れ体験することになった「シャルル・ドゴール空港で14時間のトランジット」を思い出した。
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「沢木耕太郎」の映画エッセイ『「愛」という言葉を口にできなかった二人のために』を読んで観たくなった作品が色々とありまして… 先日の『黙秘』に続き『パリ空港の人々(原題:TOMBES DU CIEL)/1993』を嫁さんと一緒に観ました。
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パスポートを盗まれたばかりに空港から出られなくなった男と、それぞれの事情から空港内に住み着いている人々の悲喜劇を綴った、滑稽でハートウォーミングなコメディ。
ボーダーレス時代に故郷を失った人々を見つめる演出の視点が温かい。
監督・脚本は「ミシェル・ドヴィル」、「コリーヌ・セロー」、「ロバート・アルトマン」らの録音技師を経て、38歳で監督に転じた「フィリップ・リオレ」で、実際にパリ空港に住んでいる人々をモデルに、「ミシェル・ガンツ」と共同で脚本を執筆。
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これと言って盛り上がるシーンはないのに、なんだか印象に残る作品でした。
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フランスなのに、フランスじゃない… そんな空港のトランジットゾーン、、、
パスポートを含む手持ちの荷物が盗難に遭い、どこの国にも属さない宙ぶらりんの空間に残された男「アルチェロ」が体験する数日間の物語。
「アルチェロ」が、妻への土産を小脇に抱え、靴を履かずに(靴も盗難に遭った… )、空港内を歩き回るシーンは、本人にとっては哀しい状況ですが、観ている側からすると、なかなか滑稽でしたね。
パリで働く父の迎えを待つギニア出身の少年「ゾラ」や、コロンビアから国外追放された若い女性「アンジェラ」、出身地も言語も不明の黒人男性「ナック」、犯罪を犯し過去を消したという男性「セルジュ」等、フランスに入国できず、空港に住み着いている人達と知り合い、何日間かを一緒に過ごします。
空港の片隅で暮らす人達の、巧みに食料を調達し、シャワーを浴び、逞しく生きる姿と、自分の運命を受け留め、いつの間にか行動を共にしている「アルチェロ」の適応力… なかなか良かったですね。
そして終盤… 父親がギニアに強制送還され、自身もギニアに送還されそうになった「ゾラ」を大晦日のパリに連れ出すシーンは感動的でしたねぇ。
5人が、それぞれの想いを抱えながら、パリに向かうシーンは、とても印象的でした。
そして、妻への土産は空港係員に預け、妻のもとへは帰らず、「ゾラ」と一緒に歩いて行くラストシーン… なかなか良かったです。
この二人、幸せになれたような気がします。
なんだか心地良い作品でした。
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監督: フィリップ・リオレ
製作: ジル・ルグラン
フレドリック・ブリリョン
脚本: フィリップ・リオレ
撮影: ティエリー・アルボガスト
音楽: ジェフ・コーエン
出演:
ジャン・ロシュフォール
ティッキー・オルガド
マリサ・パレデス
ラウラ・デル・ソル
イスマイラ・メイテ
ソティギ・クヤテ
ジャン=ルイ・リシャール -
2日間の出来事だが人生が凝縮されたような作品。現実世界にも作品に出てくる人がいるのだろうか?トムハンクス主演の"ターミナル"につながるものも感じた。良作。
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ターミナルと同じような設定で、
空港からいろいろな理由で出れなくなった人たちの話。
すき、おもしろい -
ホントに身分証明書失くすと空港に軟禁されるのかしら?と思っていたら、これ、実話が元のようです。
身分証明書の紛失で18年間シャルル・ド・ゴール国際空港で生活していたイラン人難民マーハン・カリミ・ナセリさんという奇人がモデルのようです。
こんな冗談みたいな人が5人もいる!というこの映画。設定が既にコメディですが、のっぴきならない事情で軟禁されてる彼等の境遇に想いを馳せて描いたら、ハートフルコメディになりました。
自分は自分なのに、証明書が無いだけで存在しないことにされてしまう・・・。理不尽な!でも空港職員はルールですからと片付けます。
理不尽な境遇に置かれた彼等はタフに生きてます。
大晦日の晩、ひとりの黒人少年のささやかな願いを叶える為に、彼等はちょっぴり冒険します。
パリの夜景に見とれる少年の瞳の、なんて純粋で美しいことか!
そして同じく夜景を見詰める彼等がふと見せた弱さのほろ苦さ。
けして情には流されないけど、互いにリスペクトしている彼等。
昼の暑さが残る夕方の空気のような、ちょっぴりドライなハートフルコメディでした。
〔080729鑑賞〕 -
パリ空港めっちゃみれるかな!って思ったら、裏方ばっかりで全然そんなことなかった。うさぎがかわいい。
バトームッシュすてきー!乗るの楽しみだなー! -
フランス版「ターミナル」
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空港には三種類のひとがいる。出発するひと、到着するひと、そしてどちらもできずとどまるひとだ――。
どこでもない境目に生きることはしかし、「存在しない」ことを意味しない。彼らはたしかに「誰か」であって、書類のあるなしなんて関係なく、そこにいるものはいるのだ。はっきりと決着のつかないものごとが世の中にはごろごろあって、どこまでもグレーのまま、すべてはつづいてゆくのかもしれない。
つくづく空港って特殊な場所だと思ってしまった。あんなに厳しく、ぜんぶがぜんぶ書類の世界が、ひび割れずに済むわけないんだきっと。
大みそかの夜にこっそりパリの街に繰り出す場面がきれいだった。シンプルなアコーディオン伴奏のワルツって、なんだかレトロなフランスのイメージあるよね。Tombés du ciel (空から落ちたひとたち)というタイトルもすてきだ。空港だけに。