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- / ISBN・EAN: 4988104032294
感想・レビュー・書評
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本多猪四郎監督の、ゴジラシリーズ以外の作品をちゃんと観ようと思って『美女と液体人間』。(同様に、山田洋次監督の寅さん以外の作品や、深作監督の『仁義なき戦い』以外の…ってそりゃ多いけど、そのへんを観るのは大事だなと考えてます)
1963年の『海底軍艦』はちょっとがっかりだったけど、1958年の『美女と液体人間』はかなり面白かった。いわゆる「人間ゴジラもの」で、ゴジラと同じく水爆実験で被爆した人間が、液体人間というミュータントになるというお話。
『美女と野獣』じゃなくて液体人間で、ものすごくアダルトな雰囲気。今でもそうだけど昔からエロとホラーってだいたい合体させられるものなんですね。50年代だしおっぱい出たりとかそんなことは当然ないけど、当時基準だと子供たちにはかなり刺激が強かったのでは。
この作品は変身人間シリーズの第1作目で、この流れがのちの『ウルトラQ』なんかにつながる。佐原健二が主役だし。そして、それに影響を受けた塚本晋也の『鉄男』がのちに爆誕する。
悪役は、俺たちの佐藤允!もちろん大好き。佐藤允といえば当然『独立愚連隊』で、翌1959年公開。後年の大林監督の『転校生』では樹木希林と夫婦の役で、こちらも良かった。
ついでに言うと大林監督って「特撮の人」で、初期作品のマット合成や光学合成の素晴らしさは大林ワールドを表現するのに重要なポイント。大林監督は本多監督をとてもリスペクトしていて、岡本喜八は大林監督の大恩人。
ストーリーに突っ込みどころはあるけど、全く退屈しない。大筋ではかなり良い映画でした。
液体人間自体がけっこう謎で、ゴジラがなぜ日本ばかりに上陸するのか?と似た問いにも、特に結論は出されない。ゴジラの場合は帰巣本能とか、あるいは原発を襲うとかになってるけど。
私の解釈だと、液体人間は若干記憶が残ってる設定なので、人間を吸収して群体化してるのではと思う。エヴァと同じ。
先日、ダークサイドミステリーで佐野史郎さんがまたクトゥルーを熱く語ってたんだけど笑。佐野さんはゴジラ=ダゴン説とか、南方から来た「まれびと」説とか色々言っててとても面白い。『トクサツガガガ』ではそのままゴジラ=ダゴンだった。
それで考えると、ウルトラセブンのノンマルトって旧支配者とか深きものども、そのまんま。
液体人間は旧支配者みたいに過去のものではなくて、未来……というのがすごく面白いです。それこそ『2001年』とかエヴァみたいで。
この映画は特撮がとにかく素晴らしい出来。演出としての炎もすごく良い。
映像特典のスタッフインタビューもとても良かった。本多監督ってものすごく穏やかで優しい方だったそうで、悪く言う人はほんとにひとりもいませんね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
スライムのような液体人間が迫ってくるシーンが不気味だった。
襲われて溶かされた人間の描写がかなりグロテスク。
ちょっとした事ですぐに気絶するレディとそれを即座に助ける
メンズの描写が「昔だなー」と思った。肌を見せる事を恥らったり
やたらと叫ばない所が、とても昔の日本の淑女だった。
液体人間をまとめてやっつけるそのアイディアはよかったと思うけど、
ラストの惨事を見ると本当によかったのかと疑問に思う。
東京の町並みがとても古かったり、七三分けで黒縁眼鏡の男性がいたり
高度成長期時代の日本を見る分には面白い作品。 -
Netflixにあったので。母のリクエスト。
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JSでのBEYOND GODZILLA: ALTERNATIVE FUTURES & FANTASIES IN JAPANESE CINEMAと冠した映画祭、トップバッターは本作。
上映前に「残念ながら…」と触れられたのが今回上映されたバージョンが英語吹き替え版でありながらその声優のアクセントが「おもしろおかし系」である事実。予告されてかえって期待が高まってしまったのか、会場の皆さんも第一声からつい失笑(笑)。とはいえ当時、東洋人が教養のあるようなしっかりしたアクセントで話すのは逆に違和感があるとして捉えられていたことの史実でもあるのだろうな…とも想像してみたり。
発表は58年と初代ゴジラから4年後、こうした社会派特撮も撮らせてもらえる時代になっていたということなのだろうか。大林宣彦監督がこの街に来訪された際に「映画会社で育たなかった自分が特段師として仰ぐ人は、本多猪四郎監督、この人だけ。」と語られた内容が記憶に新しいだけに、まだまだ本多作品は観ていきたいという願望がある。
俳優陣は超豪華。特撮邦画といえばと言えるほどの平田昭彦、黒澤作品でもおなじみの土屋嘉男に佐田豊、出番控えめなのが悔やまれる小沢栄太郎、そして抜群の美貌を誇る白川由美。そら二谷英明も惚れるわな(笑)