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- / ISBN・EAN: 4988105027510
感想・レビュー・書評
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母ひとり娘ひとり。
娘が嫁いだら残された母はどうやって生きて行くのか。
よくあるテーマだけれど、二親それっていたってその2人もいつかはパートナーを亡くし1人になるのだけれどね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「小津安二郎の食卓」という書籍に出会い小津熱再燃。ついこのあいだ「晩春」(1949) を銀幕で鑑賞する機会を得ていたことも手伝って、まずはそのミラーイメージたる本作から手を付けることに。
とはいえ大半の小津作品は数年前の小津映画祭を通して一気に鑑賞していることもあり、配役からその役名にまで広がるその近似性故に脳内でのもつれがひどいのは小津作品を三本も観た人なら理解してもらえるかと。「晩春」で笠智衆と軽妙な掛け合いを演じるのは月丘夢路演じる「アヤ」であったが、本作ではそれが司葉子演じる娘の名前になっていたり、中年三人組が度々会合を開くバー「LUNA」は「彼岸花」でも登場してくるし…、そんなのは当たり前。それゆえもうひと周回重ねるのはそれなりに意味があるなともあらためて感じつつある次第。拾いきれていない会話の端をつかむために字幕ありで観るのもまた面白い。
佐田啓二が本作出演から四年後に他界していることを想うに、この母娘はやはり「果報者」の夫に縁があるらしく…
「世の中何が幸せになるか分かりませんよ」
まさに。 -
ラストカットの原節子さんの微笑みが、この映画の全てだった
寂しさ すがすがしさ 人生の幸せ 優しさ 母の愛情
映画で描かれた色々がその微笑みに見えて素敵だった
岡田茉莉子さんが演じていた娘の友人の人柄がが大好きだった
明るくてはっきりさっぱりしていて、めんどくさいおじさまたちとすぐに打ち解けて話をずんずん進めてしまう
ちゃきちゃんしている女の人って好きだなー
「彼岸花」を見たばかりで、おじさまたちの配役が似ていて、初めのうちは戸惑いそうかと思っていたけれど
逆に相関図の把握が端折れて良かった -
1960年公開.BSにて.
原節子,司葉子の演ずる母娘の結婚話.
大きな事件が起きるでもなく,どこにでもあるような話ばかりなんだが,どことなくユーモラスな空気の中で語られるととてもいい.会話にもユーモアがあふれていて,思わずニヤニヤしてしまう.それにしても,なんだか1960年のほうが,今より豊かで自由で健康な感じがして,現在が窮屈な世の中なのを感じざるをえなかった.
出てくる俳優がみんないい.原節子は娘役の方がいいと思うが,純真な感じの司葉子,はつらつと美しい岡田茉莉子.それに何と言っても佐分利信をはじめとするおじさま三人組がなんとも仲良くいい感じ.いつも楽しそうに飲んでるのがうらやましい.
寿司屋の常連として端役で出ている方,えらい貫禄があるなと思い調べたら,菅原通済氏.これはなかなか興味深い人物だ. -
いい映画なんだけど、刺激に慣れた今ではこういう映画寝ていきそうになりました。
でも時々はさむユーモアとかいいな。
そうかい。そうなのかい。とか繰り返すのは笑かそうとしているんでしょうか・・・つってね。
ゆりちゃんよかったよねー
「平山くん、約束だよ。(お勘定払うの)」 -
小津映画お馴染みの顔ぶれにお馴染みのテーマ。なのに新鮮さがあるから不思議です。この作品は特にセリフ回しが面白く、岡田茉莉子さんやおじさん3人組のコミカルさが良かった。若い司葉子さんは本当に美しかったけど、ラストの、娘が嫁いだ日の夜の、一人になった母の表情を見て、やっぱり原節子さんは美しいと思いました。この作品、『晩春』の母娘版と言われているので、『晩春』もぜひ観てみたい。
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「彼岸花」と同じキャストやセットを使っていて、二部作のような雰囲気ですが、内容はこちらが圧倒的に面白いです。
他人の母娘(原節子と司葉子)の嫁ぎ先を見つけようとお節介の限りを尽くすおっさん三人組(佐分利信、北竜二、中村伸郎)。まずこのおっさんたちの生態が興味深い。女を品定めして勝手に結婚相手を決めて言いふらすという、甚だ不快なセクハラ親父たちですが、こういうお節介のおじちゃん、おばちゃんが「結婚」という社会制度の維持に貢献していたのが昭和の時代だったわけですね。
そして、本作で圧倒的な魅力的放っていたの岡田茉莉子です。司葉子の親友役で、端役と思われた彼女ががおっさん三人組を手玉にとってやり込めてしまうシーンは痛快でゲラゲラ笑ってしまいました。
珍しく母親役を演じる原節子(引退の2年前)も魅力的ですし、父娘を描くことの多い小津作品中で母娘を描いているところも貴重。でも、本作の最大の殊勲者は岡田茉莉子であり、彼女もおかげで溜飲を下げることできました。
いやー、面白かった。今まで見た小津映画の中では、確実に3本の指に入りますね(他の2本は「東京物語と「お早よう」かな)。
BS松竹東急「よる8銀座シネマ」にて。 -
ラストシーンが印象的。
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1960年、松竹。小津安二郎監督、原節子・司葉子主演。
じつに穏やかで、ちょっとコミカルで、じつに残酷な映画。男たちはいつまでも子どもじみた絆を楽しむことができるが、女たちは「結婚」という制度によって孤立と分断を余儀なくされる。たまさか女たちの関係が生まれる場合でも、それは夫を介しての妻どうし・子どもを介しての母どうしの関係でしかない。
原節子がまるで笠智衆のように娘の結婚について心配する映画だが、原節子と司葉子が伊香保温泉を旅するシーンで、オフ・スクリーンからずっと女学生たちの歌声が聞こえてくるのが印象に残る。女たちの絆はまるで学校時代にしか許されないとでもいうかのような、そんな諦念が伝わってくる。