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- / ISBN・EAN: 4988105045835
感想・レビュー・書評
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四人家族、羽田空港のそばの多摩川沿いの家に住んでいる。
京浜急行、蒲田が舞台なのである。
パンツを干した景色に、飛行機が飛んでいく。いい景色だ。
父 花澤徳栄、母 清川虹子、長男 渥美清 弟 学/河原崎建三。
母親は、実に寡黙に、家事をしている。
とにかく、渥美清はダンプカーの運転手で、混乱の元。
なぜか、この渥美清は、全く憎めない兄貴なのである。
弟 学は、真面目なや学生で、クラシックが好きなのである。
父親と渥美清は、喧嘩を始める。
「このクソじじい!ぶっ殺してやる。」
「おう!やれるならやってみろ!このどら息子」
「よーし。やってやるよ。」とじゃれあっているのである。
ガサツな兄貴と酒呑みの父親、寡黙の母親に不満をぶつける
「こんなのは家族じゃない。家族とは、ホームなのだ。」
言っていることの意味は不明だが、説得力はある。
学が、四つ葉電気で働いている娘 倍賞美津子に恋をした。
そして、ゲーテの詩集を渡すのであるが。
それが、どうも 兄貴が通っていたコールガールからもらったということから
混乱が起こるのである。
倍賞美津子は、インバイ呼ばわりされて起こるのだが。
家族全員とコールガールと倍賞美津子が喧嘩している時に
母親が、こっちにおいでよといい、みんなの言い分を聞こうという。
女は、度胸というのは、母親だったのか。
初めて、母親が言ったことは 衝撃的だった。
女は、涙を飲み込み、苦労をいとわずして初めて女になるのである。
なんという ドタバタ。そして 明るすぎる。
とにかく、笑い飛ばし切る 映画の力が あるのである。
こういう、映画 ちょっと 下品だけど できなくなっちゃったね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
森崎東という監督の名は『山田洋次監督以外の「男はつらいよ」少数派監督』としてぼんやり認識してはいたのだが、その先はあまり追いかけられていなかった。その認識は今回のFilm Forumでの「Shitamachiシリーズ」で得られた本作鑑賞の機会を通し、バッサリと刷新され、途端に興味のある監督としてそのリストの上位にのし上がる結果となってしまった次第。
なにがそんなにすごいかといえば90分とかかれた上映時間が観終わってみると「え、ウソっ…そんな短かったっけ?」と思えるぐらい中身の濃い脚本構成なのだ。もちろん渥美清演じる「兄ちゃん」と花澤徳衛演じる父ちゃんのまくし立て合う口論がその文字数を稼いでいたであろうことは間違いないのだろうけれど…。また原案は師匠的山田洋次監督とのことではあるのだが、本作が監督昇進初作品というのだから末恐ろしい。とにかく良いテンポでどこに転がっていくかを落ち着いて想像する暇さえ与えないのがよい!
さらなる追い打ちとしてその監督が9年ぶりにメガホンをとった2000年代の作品をそうとは認識せずに鑑賞しており(ちなみに「男はつらいよ熱」が上る前の話)、鑑賞後の印象もすこぶる満足だったという記憶が今回の驚きに輪をかけてくれた。「ペコロスの母に会いに行く」(2013) がその作品。森崎東監督作品としてもう一度きちんと拝みたい。
ちなみに…
宣伝のスチルにあった写真見て倍賞美津子だとはまったく気づきませんでした… 山田&森崎ペアが描きたかった清純派の美津子像はその後ポテンシャルを見出した今村昌平監督によってまったく違う絵に塗り替えられてく…。そのあいだの様子はもうちょっと楽しんでみたいかな。 -
時代が戦後復興を遂げ、高度経済成長へと進みつつある日本
らしく、やたらとネオンがさんざめく映像だった。
夜の街には若い男女が溢れ、慎ましい家の茶の間にもすでに
TVが。これから栄えてゆくいい時代だけど映像としては美しくない。
よかったのが清川虹子の母親。昔の日本女性らしくない、毒をもった
ような女性像がカッコよかった。
渥美清が寅さんみたいだった。 -
山田洋次監督に唸る一作。
かつての日本の姿、暮らしの中で、序盤は軽妙でベタな喜劇が繰り広げられる。時代を感じさせる背景や遊び方も面白いし、現代に通じる笑いも多分に含まれている。渥美清の台詞回しは、言葉もリズムも流石の一言。
後半は人間一人ひとりのキャラクターがくっきり描かれ、軽妙な中で生々しい人間模様が見える。ラストでは登場人物が序盤と同じ台詞を口にするが、その意味も重みも違っていて印象的だった。 -
[1969年日本映画、TV録画鑑賞]