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- / ISBN・EAN: 4988113819831
感想・レビュー・書評
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原題Night on Earth。なぜ変えたのか。
それぞれの街の夜を魅力的に映す。絵的な魅力がすばらしい。
小噺のような会話の後に関係性や行動、または観客が人物を見る目が変わるようなところがとてもよくできている。
LAの話は会話が進むにつれ若いドライバーへの見方が変わっていく。確固たる自己を持って計画を立てて生きるドライバーを見守るような頼もしく思うようなまなざしのショットがよい。最後にはドライバーの生き方が電話がかかってきたときの相手の行動にも影響しているように見える。
NYはユーモラスだが何か深いものを感じさせる。NY市民から見たら滑稽なドライバーだが人生の些事にこだわらず悠然としている様は嗤う側に何かを突きつけるようだ。
パリの話もNYと少し繋がるところがあるかもしれない。相手へのまなざしと自分に向けられるまなざし。自分が受けたからかいに似た態度が別の切り口で他者に向かう。相手には相手の世界があると知る。
ローマの話は力の抜けたユーモアだ。抱腹絶倒とはまさにこのこと。役者の魅力が遺憾なく発揮されていて爽快。
ヘルシンキは繰り返すお約束が笑える中で、ドライバーの独白が光る。最後に何気なく挨拶の声がかかるシーンにどこか希望を感じさせていい締めくくりだった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タクシードライバーと客という行きずりの関係。
街の景色も人物も綺麗事ではない愚かな部分が
描かれているのに、何だか優しくて心地良い。
「私は道化だ。金は必要だが重要じゃない」
1991年の映画だけど、合理的とか効率的といった
言葉をよく耳にする今だから印象的でした。
どの話も「あの人、その後どうなったのかな?」
と思ってしまい、観てる側に委ねられてる感じ。
トム・ウェイツが「もう一度チャンスに賭けよう ~グッド・オールド・ワールドに戻って…」と歌う
素敵なエンドロールでした。 -
ストーリがあるようなないような、クスッと笑えて夜中にぼーっと見れるようなこういう映画、大好きです。
深夜のタクシーで運転手と乗客のたわいもない会話からなる5つの短編です。
ロサンゼルス→シザーハンズで見たばっかりのウィノナさんとにかく可愛い。煙草にガムも似合います。
ニューヨーク→1番好き。まともに運転できない、英語上手く喋れない、おまけにサーカス団の運転手がでてきます。乗客が運転するっていうとんでもない状況だけど打ち解けた2人がニコニコなのが可愛い。
パリ→目の不自由な綺麗なお姉さんが乗ってきます。目が見えないからこそ感覚を研ぎ澄ませて生きてるのが分かり素敵です。盲目なのはどっち?
ローマ→これはもうコントです。おしゃべりすぎる運転手のタクシーに神父さんを乗せたことでどうしようもない懺悔が始まります。
ヘルシンキ→えっ...?って状況から始まります。自分が1番不幸せだと思ってたらそうじゃなかったようです。少し寂しいお話です。
夜中に見るのに心地よく、今この夜の時も世界では面白い出会いが広がってるんだなと思える癒しの映画です。音楽も良いです。 -
ウィノナ・ライダーが可愛い。シザーハンズではそんなに可愛いと思わなかったのに不思議。女の子女の子してないのがいいのかも。意外だった。
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NIGHT ON EARTH
1991年 アメリカ
監督:ジム・ジャームッシュ
出演:ウィノナ・ライダー/ジーナ・ローランズ/ベアトリス・ダル/ロベルト・ベニーニ
ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキを舞台に、タクシードライバーと乗客の人間模様を描くオムニバス映画。オムニバスという形式もふくめ、とにかくジャームッシュのイメージは「オシャレ」だった。会話がまた、軽妙でね。いいんですよね。シザーハンズのピュアなヒロインのイメージの強かったウィノナが、くわえ煙草のドライバーを演じたのも、ベティブルーのベアトリス・ダルが盲目の乗客を演じていたのもインパクト大。
(1993/3/2)文芸座 -
ウィノナ・ライダーかっこいい。タクシー運転手やのに、運転してるだけやのにかっこいい。若いのに自分の人生のプランをもってて、ブレない。かっこいい。
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ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキの5都市のタクシー運転手と、乗客がある晩に繰り広げる会話だけで進む、深夜に見たいオムニバス集。個人的にNY編が好きでした。
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地球という星では 今夜もどこかで
タクシードライバーと乗客が
一生に一度の出会いを過ごしている。
他人が狭い空間を共有する何だか気まずいひと時。
ドライバーはタバコや、取り留めの無い話で場を取り繕う。
そんな場面を淡々と、しかし じぃ~っと凝視する視線は
人間を見つめ続けた小津作品に通ずる。
ジャームッシュ監督は、人物にギリギリまで近付きながら
突き放して見詰めることが出来る。
近くのトラブルは悲劇であり、遠くのトラブルは喜劇と言うが、
間近に迫りながら情に溺れないこの作品はブラックユーモアに溢れている。
しかしブラックユーモアの天才ジャームッシュ監督は、
"所詮そんなとこよ、気に病むな、自分の人生自由に生きようぜ!"
というメッセージを発しているのではないだろうか…。
映画は、夕暮れが宵闇に包まれるL.A.から始まり、
夜のN.Y.へ、次いでパリ、ローマ、最後に再び陽が昇り、
冬の夜が陽光に溶け込んでゆくヘルシンキで終わる。
同時刻に起こる5都市でのタクシードライブを描くオムニバス。
19:07 ロサンゼルス
大物キャスティング・ディレクター ヴィクトリアは、
若き女性タクシードライバーに惹かれ、映画の出演交渉を持ちかける。
だが整備工になる人生設計を持つ彼女があっさり断るお話。
ウィノナ・ライダーが自分の道をまっすぐ生きるボーイッシュな女性ドライバーを好演。
22:07 ニューヨーク
さっきから乗車拒否され続ける黒人ヨーヨーの前に留まったタクシードライバーは
オートマの運転も判らない、東ドイツからの移民老人ヘルムート。
すぐに打ち解けた二人は、ヨーヨーの運転で目的地に到着した。
だがヘルムートは一人になった途端どんどん物騒な地区に迷い込んでいった。
初めて見る夜のブロンクスに老人はつぶやいた。「N.Y.か・・・」
04:07 パリ
知性と良識を誇るコートジボワール人のドライバーは盲目の女性を乗せた。
彼女は若くて美しく、鋭い感覚を持つ娼婦だった。彼は彼女に惹かれていった。
道中、盲目のことや余計なことを話し掛けるがことごとく正論で切り返されてしまう。
降ろす際も気をつけてと声を掛けるが「そっちこそ」と言い返されてしまう。
直後、彼は追突してしまい「目ぇ付いてんのか!」と怒声を浴びる。
ペティ・ブルーで主演したベアトリスが、若く勝気な盲目の女を好演。
04:07 ローマ
おしゃべりドライバー ジーノは、乗客の老神父を勝手に司祭と決め付け懺悔を始める。
粗野で下品なエロ懺悔に心臓病を誘発させた老神父は薬を取り出すが、
お粗末なジーノの運転で薬を落としてしまう。
相変わらずまくし立てるおしゃべりに口を挟めないまま車内で息をひきとってしまった。
ジーノは公園のベンチに神父を座らせ、瞳孔の開いた目にサングラスを掛けて走り去る。
05:07 ヘルシンキ
凍りついた街で無線連絡を受けたタクシー運転手ミカ。
待っていたのは酔っ払って動かない三人の労働者風の男。
その中の一人アキは酔い潰れて眠っているが、残る二人はミカに、
今日がアキにとってどれほど不幸な一日かを高らかに説明する。
しかし、ミカは全く動じない。
なぜならミカは今、アキとは比べ物にならないほどに不幸なのだ…。
(121104鑑賞) -
ロサンゼルスとニューヨークが特にすき!
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いつか深夜の放送で観た気がする。
地球という星の、ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキという5つの都市で、5人のタクシー・ドライバーが乗客を乗せた。それぞれの話。
ジャームッシュというネームバリューがなければここまで人に観られる作品でもない。
雰囲気を味わう感じかな。わざわざ観たほうがいいよと勧めるほどのものでは。