土呂久―小さき天にいだかれた人々 (1983年)

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  • 葦書房
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  •  モノクロの写真と短い文章で淡々と綴られている、宮崎県土呂久地区の暮らし。ここは全村が砒素鉱毒に苛まれ、健康を蝕まれ、人としての生活を奪われた土地である。写真の中の人々の笑顔とは裏腹に、土呂久の悲惨な現状が淡々と告発されてゆく。

     長い長い裁判の末、鉱山側との和解が成立した。裁判の間、いったいどれだけの人たちが結審を勝訴を待ちわびながら、その短い人生を終えたであろう。
     しかし、公害訴訟に限って言えば『和解』で救われるのは常に加害者側であり、被害者側が救われることは無い。失われた健康は、失われた生活は、失われた家族は決してもどってこないのだから。

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著者プロフィール

1947年、愛媛県に生まれる。写真家。
1970年、法政大学社会学部二部(夜間部)卒業。
おもな作品集に、
『里の時間』(阿部直美との共著、岩波新書、2014)、
『生命の惑星 青島』(鉱脈社、2010)、
『銀鏡の宇宙』(海鳥社、1995)、
『輝く闇』(葦書房、1991)、
『土呂久 小さき天にいだかれた人々』(同、1983)、
『水俣 現存する風景』(財団法人水俣病センター相思社、1980)など多数がある。
現在は宮崎県在住。

「2020年 『羽音に聴く 蜜蜂と人間の物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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