ママ・グランデの葬儀 (1982年) (集英社文庫)

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制作 : 桑名 一博 
  • 集英社 (1982年12月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)

ママ・グランデの葬儀 (1982年) (集英社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 『百年の孤独』未読ですが。
    『百年の孤独』以前の作品を集めた短篇集で、いわゆるマジック・リアリズムっぽいものばかりではなくバラエティに富んだ内容。
    「大佐に手紙は来ない」恩給を何年も待ち続ける大佐と喘息持ちの妻の老父夫婦。どうやらコロンビアの歴史が背景にあるらしいが予備知識無くても楽しめる渋い短篇。いわゆる古典的な巧みな短篇という感じでしんみりとした名篇。
    「火曜日の昼寝」機関車に乗り教会に向かう母娘。スケッチの様な作品でこういったものが本書には多い。
    「最良のある日」これもスケッチ風だが、十分説明されない歯科医と村長の関係が気になり、なかなか上手い。
    「この村に泥棒はいない」出来心から盗みに入った男。これもオーソドックスだけど見事だねえ。
    そういったテクニックがこの作家の土台なんだろうなあ。
    「バルタサルの素敵な午後」金持ちの息子に美しい鳥かごを作った男。
    これもスケッチ風の短い作品で特別な事が起きるわけでもないんだけど読ませる。こういったタイプの作品は例えば志賀直哉とか日本文学の短篇を思わせ、そういう意味ですんなり読める読者が多いのでは。
    「モンティエルの未亡人」これも小品。町の商業を欲しいままにしていた男が亡くなって荒廃し始める家。母親が一人残っているのに危険だから帰って来ない子どもたちというのが皮肉だ。
    「土曜日の次の日」大量の鳥の死がい、精神に破綻をきたした神父と魅力的なモチーフで、どうやらマジック・リアリズム的作風への転換点となった重要な作品らしいが、正直効果的に要素が融合している感じがなくあまり面白く読めなかった。
    「造花のバラ」服の袖を汚され洗濯されてしまったため教会に行くのを拒む娘とその原因となった盲目の祖母のやり取り。またも小品でこれまたなかなかいい。
    「ママ・グランデの葬儀」九十二年間統治者として君臨したママ・グランデが亡くなった。これはマジック・リアリズムという言葉のイメージにぴったりの豊饒な世界が描かれる作品で、本書ではそういったものとしては唯一といえそう。面白かった。

     全体としては短い作品が多く、また割と伝統的なタイプの技巧派と思わせるものが多く若干意外な印象を受けた。
    粒揃いな短篇集で自分の様なマルケス初心者に合っている気がした。さてそろそろ『百年の孤独』を読まないとなあ。

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