人類の知的遺産〈64〉ガンディー (1981年)

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  • 物理学者のアインシュタインが、ガンディーについて「未来の人々は、あのような人が生身の姿でこの地球上を歩いていたとは、到底信じられないだろう」という評価を残したらしいが、全くそのとおりだと思う。

    「絶対的に強いものが弱いものを支配する」という、何十年、何百年という時間を経て強固に固定化した状況が、覆せると誰が想像するだろうか?

    たとえば、富裕層が全世界の富の大部分を独占している、という状況は今日も存在するが、この状況を覆せると何人の人が真剣に考えるだろうか?

    当時のイギリスがインドを支配していた状況はまさにこれだった。

    ガンディーは「非暴力」「非服従」という原則に従ってさまざまな宗教、カーストが存在するインドの民衆を一つにまとめ、絶対的優位にあった大英帝国からインドの市民の権利を守るために民衆を率いて戦った一人だった。

    長年にわたって世界各地で植民地支配をとりしきってきた大英帝国イギリスは、アメとムチ、分離制作など、民衆をコントロールするための洗練された狡猾な手段を容赦なく駆使して独立しようとする市民を阻もうとする。

    それに対して繰り返し投獄され、暴力を振るわれ、民衆を銃で虐殺されてもガンディー率いるインドの民衆は屈しなかった。

    帝国主義イギリスからのインドの独立という出来事は、人間の精神の強さを証明した、まさに20世紀を代表する出来事だったといえる。

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著者プロフィール

1928年和歌山県生れ。同志社大学神学部卒業。インド国立ヴィッシュヴァ・バーラティ大学准教授を経て、帰国後、名城大学教授等を歴任。名城大学名誉教授。現代インド思想・文学専攻。


「2015年 『女声合唱とピアノのための 百年後』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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