イスラムからの発想 (1981年) (講談社現代新書)

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  • 古い本だが、内容は非常に新鮮。むしろ、中国の文化大革命やイラン革命が同時代の問題として語られていてタイムスリップしているようで楽しい。一重に古びない考察と時代に左右されない軽妙な語り口のせいである。
     イスラム教徒に対する日本人の誤解を正すという感じで書いてあるが、僕が特に面白いと思った内容は

    ・他の宗教の見方
    キリスト教・ユダヤ教はバカにしながらも「啓典の民」として他の民族より信用している

    ・コーランの恣意的な解釈
    ムハンマドの唱えたイスラム教は、アラブ世界の部族主義や女性差別を改める内容だったが、その後結局は聖職者によって部族主義的・形式主義的なもの(ようするにアラブの伝統を引き継ぐもの)になった

    ・建前主義
    酒や豚肉の禁止など、細かい禁則は人前ではみな守るが、陰では聖職者さえ破ることもある。ただしそれを本人にいうとひどく傷つく。一面では日本と同じ「恥の文化」と言える
     時の権力者は、保守派も改革派も自分の有利なように巧みな教義の解釈を行う

    部族主義
    部族主義は非常に強く、政治家は自分の親族に何かしらの見返りを与えないといけない。それはもう本人の意思の問題ではない。民主主義は根本的になじまない


    といった内容。日本人論としても面白い。イスラムの人々の考え方は、とてもついてはいけないと感じたが、日本的な考え方を相対化してくれるヒントになるものだと感じた。

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