怒りについて
十、何処に怒りの入るる余地にやあるらむ。
万事は、笑はられるか、泣かられるか、何れかである。
十三、徳の全てを持ち続ける事は容易であるが、悪徳の世話は高くつく。
二十五、本当に偉いと云ふ事の証は、殴られても気にしないと云ふ態度である。
二十六、他人の中に非難すべき欠点を、自分自身の胸の中に発見する筈である。
三十四、人間に与へられた会話は、自然界の不正の一つに数へられてゐる程である。
三十五、何ぼう優美なる神経を持てども、雷の音は聞かねばならぬ。
神慮について
一、善き人は神の弟子であり模倣者であり、また本当の子孫である。
六、神は次の様に云ひ給ふと思ふべし。我は他の者達の周囲に偽りの善を置けり。亦彼等の空虚なる心を、謂はば長き誤魔化しの眠りで欺けり。我は全ての善をお前達の内部に置けり。然れば、幸福の必要あらざりしが、お前達の幸福なり。