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感想・レビュー・書評
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まず、カラマーゾフの兄弟を全て読み終えられたことが嬉しい。何度も頓挫をし、数年かかってしまった。今年こそ読み終える!その目標を達成した。
今の私には全てを理解をすることは不可能だったとはいえ、何かを得ることができた。崇高な作家の精神に触れることができて本当によかった。
この本をきっかけにキリスト教に強い興味を持ち、聖書を毎日少しずつ読みはじめてもう5ヶ月になる。しかし聖書よりゾシマ長老とアリョーシャがキリストの教えの深いところまで教えてくれるような気もする。兄弟・隣人を愛し、罪のない自然と動物を愛し、罪のある人間を赦し愛する。二人の話す言葉を読むだけで心が浄化される。キリスト教徒ではないのだが、宗教の力は偉大であると感じる。一人一人が正しく信仰の気持ちを持てば、世界を救う力がある。ドストエフスキー自身がキリストの生まれ変わりなのではないかと思ってしまうほど、深い言葉の数々に感動した。
対をなすイワンの言葉も衝撃的だった。「ぼくは神を認めないんじゃない、アリョーシャ、ぼくはただ入場券をつつしんで神さまにお返しするだけなんだ」神の問題についてこのちっぽけな人間が考えることなどできるわけがない、調和とは何なのか、永久に解決されない問題…。
私の中でアリョーシャとイワンが闘っている。今も、結論は出ない。再度読むまでは。
登場人物が皆魅力的すぎる。自分と近い人物は一人もいないが読んでいくうちに重ねて考えられるところもあるように思えてくる。人間はみんなカラマーゾフだ。皆が同時に「二つの深淵」を覗き込みながら生きている。
あまりにも作家の文章がハイレベルすぎるので感想で多く語るのは難しい。とりあえずここまで。
30代になってもう一度読めたら嬉しい。次は中学生の頃読み飛ばして理解が追いつかなかった「罪と罰」を近いうちに読みたいと考えている。
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