scaramoucheさんの感想
2019年10月30日
再読。 戦国時代や江戸初期、幕末など幅広い年代を対象にして、主には、本流から外れたところにいた英雄たち、または史実から離れた市井の人物などを主役にとって描かれた短編集。 河井継之助を主人公とした『英雄児』、伊達政宗を主人公とした表題作『馬上少年過ぐ』など、短編ながら深みのある作品が多い。特に『英雄児』は、同一人を主人公にした司馬の長編『峠』と読み比べると、人物を外形的な史料から精密に読み解くのか、人物の内側に入り込んでその思想を汲み取るのかという、作者の視点の違いが感じられて興味深い。