人間喜劇 (1977年) (文学のおくりもの〈16〉)

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感想・レビュー・書評

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  • こちらは、先日読んでいた「百年の誤読 海外文学編」で
    気になり、図書館で取り寄せた。

    最初の方でもう、「これは私が絶対大好きな小説だ!」と
    例えではなく体が震えてきて、
    すぐに探して手に入れたから
    しばらく家にこの本が二冊ありました。

    主人公の14歳の少年ホーマーは父親が死に、
    兄が戦争にいっているので、家計を支えるため、
    学校が終わってから電報配達の仕事をしている。
    時節柄どうしても「戦死の通知」を配達することが多く…

    ホーマー君の弟のユリシーズが可愛くって!

    郵便局に来た強盗の話のところが最高という、
    ネットに載っていた誰かの感想を読んだ。

    うん、そこもとても良いんだけれど、私はユリシーズが
    罠にかかっちゃったところと、

    ガキ大将オーリイ率いる少年たちが杏の実を盗みにいくところ、
    そして少年たちが来るのを毎年楽しみにしている
    杏の木の持ち主のおじいさんの話が楽しくって、
    楽しいのにだんだん涙が出てきて、
    急いで電車の中で読むのを一時中断したんだ!

    「百年の誤読」の豊崎さんは図書館の話がお好きなのだって!

    この本を読んだ人とあそこが良い、ここが良いと
    夜が更けて、そしてまた夜が明けるまで
    語り合いたいものだ!

    私はこういう
    ワイルダーの「大草原の小さな家」とか、ハムズンの「小さい牛追い」とか
    宮沢賢治の「雪渡り」みたいな、仲良しのきょうだいが出てくる話がとてもとても好きなんだな。

    なかにはハートがげんなりする、
    嫌な先生が出てくるんだけどね、
    ちょうど日本大学の悪質タックルの件と共通点もあってね、

    『これは悪いこと』という体験が無いこと、
    さらにはそれを教えてくれる、諭してくれる人の不在が
    問題のある人物を作るんだな、と
    なんだかしみじみ思ってしまった。

    「誰かを罰すること」について、

    「悪いことをした」とされる人を
    排斥して再起不能になるまでとどめを刺す
    最近の風潮に思いを馳せたりなど、
    読後、珍しくまじめに折々考えている私です。

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