ジャマイカの烈風 (1977年) (文学のおくりもの〈17〉)

  • 晶文社
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感想・レビュー・書評

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  • 「児童心理を描いて、古典中の古典」だとした批評家がいた、と解説にあった。
    ジャマイカの烈風って?不思議だ。
    ストックホルム症候群のようなことが起こるのかと思いきやそうでもなく、海の大冒険ものなのかと思いきやそうでもない。

  • 映画『マイ・ブックショップ』で、本屋の店主が”読書をしない”本屋手伝いの少女にお勧めしたのがこの本。
    どんな本なんだろう。
    読書に興味のない子にお勧めする本って…。

    と思って読んだのですが、日本の普通の本好きおばさんたる私は「え?これお勧めしちゃっていいの?」とびっくり。

    「いい海賊と悪い子どもたちのお話」と映画の中で言っていましたが、そんな単純なものではありません。

    いい海賊と言ったって、結局は海賊。
    お宝を積んでいそうな船を襲っては、力ずくで強奪するのです。
    その時、何でそんなことをしたのかわかりませんが、船に乗っていた子どもたちを自分たちの船に移したのです。
    多分人質のつもり。
    いざ子どもたちを返そうと思ったら、肝心の船はさっさと海賊船から逃げて行った後。

    そのあと、悪い海賊なら子どもたちをさっさと海に放り込むなり、どこかの島に置き去りにするなりすると思うのですが、彼らは気まぐれに子どもの相手をしたり、ほとんどは放ったらかしにしたりしつつ、ちゃんと食べさせて、寝る場所も与えるのです。

    悪い子どもたちは、悪い子というのではなく、ただあまりにも幼かったのです。
    いちばんしっかりしているエミリーでさえ、まだようやく10歳なんだもの。
    自分に都合のいいように物事を解釈し、過去は簡単に現在に上書きされる。
    エミリーがやってしまったできごとは、このまま誰に知られることもないまま、きっと彼女の記憶からも消えてしまうのだろう。

    物語としてはハッピーエンドになるのかもしれないけれど、悪意のない行為が引き起こすあまりにもむごい結末に、この本をすすめられた少女が何を感じたのだろうかとかんがえてしまった。
    本好きにはなったようですが。

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