連弾 (1973年)

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感想・レビュー・書評

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  • 購入は2005年7月で、三回ほど読みました。
    芸術や骨董品をモチーフに
    旧かなで書かれた短編は
    一見無関係なようだが、
    実はさりげなくリンクしていて、
    架空の街の事件簿としても読める、かも。
    5篇中、一人称で綴られた「かすみあみ」が出色。

  • 「奪」「連彈」「靑海波」「天秤の東」「かすみあみ」の5つの短篇を収載する。
    吉田正俊への謹呈本を借用。見返しと遊び紙に、「連弾や五月の驟雨しろかねに 塚本邦雄」と墨書されている。

    <感想>
    著者の小説集を読むのは『紺青のわかれ』『遊神図』に続き3作目だが、良くも悪くも期待を裏切らない世界だった。

    本作では、当事者同士の恋愛に家族の因縁がからむ愛憎譚が目立った。話のスケールが大きくなったとも言えるが、人間関係の把握に手こずってしまったので、個人的には主人公の恋愛の顛末に筆を割いてくれた方がよかった。悪女の色香に侵され盲いていく若き画家・朝倉雄飛(「奪」)の件などあまりに退廃的で目眩がしたが、父の代の因縁が説明される間に熱が冷めてしまった。

    どの短篇がよかったかと思い返してみても、これというものが印象に残っていない。その代わり、個性的で魅力的な登場人物が多かったと思う。男性なら純粋で無邪気な麥谷未完(「靑海波」)、女性なら清々しいほどの毒婦・未繪(「連彈」)が気に入った。他の作品では女性の性格も役割もワンパターンなので、依然悪魔的ではあるが魅力ある女性が登場したのはうれしい。

    総評では、処女小説集『紺青のわかれ』の方が好み。

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