ハノイでアメリカを考える―陸井三郎評論集 (1976年) (すずさわ叢書〈12〉)

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感想・レビュー・書評

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  • 蔵書整理のためのメモリアル。さようなら、ありがとう、たいへんお世話になりました。

    この際、思い切って古い政治的な本とか社会科学系やマルクス主義関係の本は手放すことにします。

    没頭した時期には貪り読んで人類二千五百余年の叡智のおかげでこの社会がいかに空虚でインチキに満ちているか、それは一握りのずる賢い策謀家(独占資本・ブッシュ・自民党)のために滅茶苦茶にされてきたこと、そしてもうすぐ滅亡するに到る(だがそれは絶望的ではなく有効な変革方法が確かにある、と説きますが)ということを学んだことは明らかですが、はたしてどれだけ身についたのか、意識の変化は認められるとしても世界に何らかの影響があったのかしら?(まあ、なんという端折り方でしょう)

    でも今の私には、革命も民族闘争も構造改革も、高みの見物のエリートはともかく、現場で闘う人たちにとっては命を犠牲にすることを強いるという一点で、断固組することのできないものです。

    現実を無視する訳ではなく、もっと根源的なより深部へと潜入するのです・・・・・

    それはともかく、この本からは、ベトナム戦争の本質的な意味を教えてもらったのでした。縁あって父が陸井氏本人から三冊いただいた内の一冊を譲り受けて読みました。中学1年生には取っ付きにくくて苦労しましたが、この本を読んだことが、その後、戦争と平和そして軍事や、大好きだったアメリカがどう腐敗してきたかを知る端緒にもなりました。

    そして何よりホー・チ・ミンという、レーニンよりも偉大な革命家を初めて知ることにも。毛沢東よりも早くから苦難の実践をしてきた彼には、理論的な著作がほとんどありません。何故なら、強大なアメリカ帝国主義と闘うために、ベトナム民族を民族まるごとの指導者として先頭を切るというとてつもない活動をしてきた彼には、のんびり本を書く暇などなかったからです。それが彼の不幸。後世の私たちは著作物を通してしか知り得ないから。

    今やホー・チ・ミンは忘れ去られた人で実際まわりの学生や知人に訊ねても誰も知りませんでした。ベトナム革命もすでに色あせたのでしょうか?

    ところで著者の陸井三郎氏はご健在なのかなと調べると、残念ながら2000年の1月13日に81歳で身罷ったそうです。合掌。

    さて廃棄処分の場所はと捜すも、ブックオフなどでは敬遠されてお金をいただいても引き取れません、といわれたこの手の本、しかたなくゴミ袋にいれてゴミとして捨てようと決意していたら、何とネットで見ると、この本3500円です、と提示されていて、絶句。捨てるのは惜しくなり近くの図書館にないことを確認して寄贈しました。

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