ホモ・ルーデンス―人類文化と遊戯 (1971年)

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  • おすすめ資料 第81回 「遊び」と人間の歴史を考える(2009.1.23)
     
    学際研究の先駆者、ホイジンガの名著で今も版を重ねるロングセラーです。
    ホイジンガは「ホモ・サピエンス(理性を持つ人)」と呼ばれていた人間の本質は「ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)」であると定義づけ、遊戯の側面から法律・戦争・詩・哲学・芸術に関して歴史学・文化人類学を駆使して説明してゆきます

    祭祀などに遊戯の要素を求めることは容易ですが、ホイジンガは遊戯は文化より古いものととらえ、言葉の誕生さえ、心の中でイメージを操る「遊戯」から始まり、物に名を与え、物質を精神の領域に導くことでなされたとしています。

    彼によるとルネサンスは「遊戯」が最も真摯に実行された成果で、当時の創造や発明はその時代の生活・文化の具象化をつき進めることにより後世の財産となりました。
    その後、世の中が整備され近代の合理化・専門化が進められるにつれて「遊戯」の精神は弱まってゆきます。

    「遊戯」にはルールがあり、遊戯を知る人は暗黙の了解の下にあるそのルールに則って行動します。
    それはかっては政治の世界にもありました。
    遊戯が失われるとものごとには面白みが失われ、ときには容赦のないものになります。
    終盤ホイジンガはそう述べています。

    博識に裏打ちされた読み応えのある資料ですが、古代から現代までを通史的に俯瞰した11章以下から読み始めるのもよいと思います。

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著者プロフィール

1872~1945。歴史家、文明批評家。フローニンゲン大学卒業。フローニンゲン大学、ライデン大学で教授職を務める。ライデン大学学長。著書に『中世の秋』『ホモ・ルーデンス』『エラスムス』『わが歴史への道』などがある。

「2018年 『ホモ・ルーデンス 文化のもつ遊びの要素についてのある定義づけの試み』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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