海市 (1968年)

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感想・レビュー・書評

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  • 吉行淳之介と三島由紀夫が浮かんでくる。
    第二次世界大戦の時に学生だった人たち。
    吉行淳之介の小説に出てくる疲れた男、仮面の告白の戦時中の三島由紀夫、映像に残る「疑り深い人間ですから、そんなものかなと思った」と言った三島由紀夫。
    戦争体験、本当に経験しないと私なんかには分からないんじゃないかと思う。
    死について語っていても、現代の人々がよく言う死にたいという印象に繋がって、死、死、言ってないでちゃんとして、と思う。
    私が持っているそういう死のイメージと、戦争体験のある人の言う死は、きっと違うのだろう。
    コロナを経験していないとき、授業でスペイン風を習ってもなんとも思わなかった。




    潦(にわたずみ)
    雨が降って、地上にたまり流れる水。

    揺曳(ようえい)
    ゆらゆらとただようこと。また、音などがあとまで長く尾を引いて残ること。

    アフロディテ
    ギリシア神話の愛と美と豊穣(ほうじょう)の女神

    恣に (ほしいまま)

    匕首(あいくち)
    鍔(つば)のない短刀。

    囂しい(かまびす)
    人声や物音がうるさく感じられる。やかましい。騒々しい。

    メチエ、メティエ
    職業、仕事
    美術家・文学者などがもつ、その分野に特有の表現技法。

    忽然
    たちまちにおこるさま。にわかなさま。急なさま。突然

    肯綮(こうけい)
    (肯」は骨についた肉、「綮」は筋肉と骨とを結ぶところ。料理の名人の庖丁(ほうてい)が牛を料理した時、うまく肯綮に刃物をあて、肉を切り離したという) 物事の急所。かんじんなところ。かなめ。

    Necrophille
    死体性愛、死体愛好症、屍姦症

    ヴァルール
    「目で見て認識した色の階調」と「画面上での色の階調」の違い。絵画の画面における、色彩の色相・明度・彩度などの相関関係による「色の価値」を指す。

    健啖(けんたん)
    好き嫌いなくよく食べること。食欲が旺盛なこと。

    イニシアティヴ
    主導権、率先して物事をある方向へと導く力、戦略を意味する。

    荏苒(じんぜん)
    なすことのないまま歳月が過ぎるさま。また、物事が延び延びになるさま。

    nu ニユ
    フランス語 裸

    Sensualite サンシュアリテ
    フランス語 官能性

    Incontestablement アンコンテスタブルマン
    フランス語 議論の余地なく,明らかに;確かに.

    短兵急(たんぺいきゅう)
    息もつかせず勢い急に攻めるさま。突然ある行動を起こすさま。ただひたすらに、その事を行なうさま。だしぬけ。いきなり。

    霹靂(へきれき)
    かみなり。いかずち。雷鳴。なるかみ。

    闌(たけなわ)
    盛りになる。盛りをやや過ぎる。

  • なんだか物足りない作品でした。
    ストーリーはどうでもいいので置いておくとして、読んでいて「わからない」箇所がないのです。全てが平明に描かれていて、あまりにすいすいと理解でき、作者が本当にこれを書きたかったのか疑問に思えてなりません。
    決して駄作だとはいいません。小説として完成度が高く、芸術家の内面、「男性の卑怯さ」や「生への執着」についての描写は面白く読んだのですが、どうにも心に残るところがないというのが正直な感想です。
    そもそもこの作品を純文学に含んでいいのかも微妙なところです。大衆娯楽作品としてはあまりに地味というか玄人好みで、かといって純文学の土俵でどこまで戦えるかというと悩むところです。
    なにかと三島と比べてしまう私にも落ち度はあると思いますが、評価としてはこれが妥当かと思います。

  • 独身時代に読んだ作品。福永武彦作品2冊目のホンであった。

  • 愛と死と。
    恋する画家の一途さと焦る心情、必死さがまるで若々しい青年の姿。
    ふさちゃんと安見子は彼にとっては通過点、逆に二人の女性にとって画家は終着点か。
    安見子の心情がよくからない。古賀との生活を守ろうとする保守性を持ちながらなぜそうまで死に走るのか。分散する愛に歯止めがかからなくなったのか。

    2009.7.29 読了

  • 人は2度死ぬ

    一つ目は、本人の肉体的な死。

    もうひとつは、

    精神的な死。

    その人のことを忘れてしまった時。

  • 妻のある画家・渋太吉は、旅先の伊豆南端の海村で蜃気楼のように現われた若い女性安見子を愛しはじめる。

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