哲学概説 (1964年)

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  • ヘーゲル哲学の研究者である著者が、主観と客観、時間と空間、存在といった、哲学の基本的な主題について考察をおこなっている本です。

    デカルトやカント、ヘーゲル、キルケゴール、ハイデガー、サルトルといった哲学者たちの説がとりあげられていますが、単なる哲学史的な紹介ではなく、著者自身の哲学的考察の中で検討がくわえられています。

    有限の存在である人間は、みずからの有限性を自覚するとともに、そのような自己のあり方を超え出ていくような存在であるというのが、本書の基本的な視座です。「人間は死すべきものである」といわれますが、そのような自己のありかたを自覚して自己と向きあうとき、自己は自己自身を超えたところに身を置いています。つまり人間は、自己のあり方を吟味し、自己を問いなおすというしかたで、自己からの離脱と再統一をおこないうことができると考えられます。

    こうした発想はヘーゲルから受け継いだものだと思われますが、著者はヘーゲル哲学の観念性を克服しようとした実存哲学などの成果も参照しながら、哲学の諸問題について独自の考察を展開しています。

  • 「哲学」とは何か、という問いそのものに幅広い見識を携え対峙する著者の視線が「問題」「客観」「実体」「主観」「時間」「空間」「存在」という概念を照らし出す。むすびに於いて「根本問題は存在に帰着する」と述べる著者には「かいま見られるもの」でしかない「存在」について、後日解釈されていくはずの「世界」が見えているのだろう、と楽しく想像できる珠玉の一冊。哲学をはじめてみたいと思ったときに手に取るべき著作として推薦する。

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