精神病質人格 (1954年)

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  •  第9版読了。
     登録は金メダル。
     他の本と併読し読了までほぼ1か月要したもの。難解。
    ■「異常人格」は「価値規範」ではなく「平均規範」
    ・平均範囲からの変異,脱逸
    ・平均基準からの脱逸が倫理的に又は社会的に見て,或いは正の方向・負の方向に評価されようとも問題ではない
    ・価値規範の意味における異常とは理想像に矛盾するもののことであり,その個人の持つ世界観的な価値の秩序(体系)の如何により規定され,それぞれの内容な科学的な論議の対象となり得ない
    ■「精神病質人格」とは人格異常性を悩みとし又はその異常性によって利益社会が悩むような異常人格
    ■疾病は肉体的なものにのみ存する
    ■精神病質人とはその人格の異常性ゆえに多かれ少なかれ各自の生活状況において,いかなる事情の下にあっても内的或いは外的軋轢を来さざるを得ないような異常人格者
    ■クレペリンのいう「精神病質人」とは,一部分は「本来の精神病者になるべきものが,まだ,そこまで発展していない前段階にあるもの」であり,また一部分は「不幸な遺伝的影響,胚子障害或いは早期に影響を与えるその他の抑制を受けてその完成に障害を受けたできそこないの人格である。この際,その本質的欠点が情性生活及び意志素因に限定されるときに,これを精神病質人という」としている。
    ■ビルンバウムは,精神病質的性格の人とは「本性的に異常な素因を遺伝的負荷として受けている人であり,特に人格の領域,従って,まず,感情,意志及び欲動の領域に軽度の偏りを示しているもの」であると解している
    ■グルーレはこれに「生来性の精神薄弱状態」も含めている
    ■精神病理学では疾病概念も非常に多様に用いられている
    ・第一に「疾病」という概念は時としては単純に平均上の異常という概念と等しいとされ,特に規準からの高度の変異が病的と呼ばれたりしている
    ・第二に精神病理学においては,疾病概念は価値概念として用いられ,ヤスパースもその一人であり「常に同じ視点から見られているとは限らないが,『病む』とはなんらかの意味において有害であり,望ましからぬ,低格的なもの」をいう
    ■「疾病」は肉体的なもののみに存する

    ※摘録継続

     

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著者プロフィール

1906年生まれ。1937年東北帝国大学医学部卒。1950年順天堂大学教授となり、1961年医学部長、1972年学長を歴任。医学教育振興財団理事長も務めた。1996年没。著書に『愛について 愛の生態学』 (中公新書、1968)、『ユングとフロム』(中央公論社、1974)ほか。訳書『愛するということ』 (紀伊国屋書店、1959)

「2024年 『フロイト著作集第7巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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